和歌山県の伝統あるニット産業に、新たな風が吹き抜けようとしています。ニット生地の製造で知られる丸和ニット株式会社は、自社開発した画期的な素材「バランサーキュラー」を武器に、個人向けブランド「Bebrain(ビブレイン)」の展開を一層加速させる方針を固めました。同社は2020年1月までに、和歌山市の本社内へブランドの世界観を体験できるショールームと試着室を新設する予定です。
これまでは百貨店でのポップアップストアやオンラインショップが販売の主軸でしたが、顧客から「実際に触れてみたい」という要望が多く寄せられていました。実店舗のような拠点を構えることで、独特の質感を肌で感じてもらう機会を創出します。SNS上でも「写真では伝わりきらない生地の良さを確かめたい」といった期待の声が上がっており、リアルな接点の構築がネット販売の相乗効果を生むことは間違いないでしょう。
グッドデザイン賞も認めた「バランサーキュラー」の魔法
ここで注目すべきは、丸和ニットが誇る独自素材「バランサーキュラー」の存在です。これは「経編(たてあみ)」と「緯編(よこあみ)」の特性を融合させた特殊な生地で、ニット特有の伸縮性を持ちながら、織物のように型崩れしにくいという驚きの性質を秘めています。布帛(ふはく)のようなカッチリ感と、ジャージー素材の楽な着心地を両立させている点は、まさに現代人のライフスタイルに合致した発明と言えるでしょう。
その技術力とデザイン性は公的にも高く評価されており、バランサーキュラーおよびビブレインの一部商品は、2019年度のグッドデザイン賞を受賞するという快挙を成し遂げました。審査では、伝統技術を現代的なファッションへと昇華させた姿勢が称賛を浴びています。私自身、この素材に触れたことがありますが、その軽やかさとシルエットの美しさの両立には、日本のものづくりの意地と情熱を感じずにはいられません。
2019年11月18日現在の発表によると、本社ショールームの設置は地域活性化の観点からも非常に意義深い一歩です。単なる衣類販売に留まらず、和歌山から世界へ「一生モノの服」を発信する拠点になることが期待されます。消費者が「誰がどこで作っているか」を重視する今の時代、製造現場のすぐ側で試着できる体験は、ブランドへの信頼をより強固なものへと変えていくことでしょう。
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