日米外交の舞台裏を支えた「母の折り紙」と「妻の布の花」――藤崎一郎氏が語る、真心を伝える究極の手土産術

かつて駐米大使として第一線で活躍し、現在は日米協会会長を務める藤崎一郎氏。その華々しい外交の舞台裏には、実は日本の温かな家庭文化が息づいていました。2019年11月19日、藤崎氏は自身の思い出の品を通じて、相手の心を動かすコミュニケーションの極意を語っています。

藤崎氏の母・芙佐子さんは、3年前に他界されるまで非常に活動的な女性でした。戦前の帰国子女という背景もあり、異文化交流を心から楽しまれていたそうです。そんな彼女が晩年に情熱を注いだのが、オランダの伝統技法「アッセンデルフト」を施した木工品や、和紙と折り紙を組み合わせた手作りのグリーティングカードでした。

ここで登場する「アッセンデルフト」とは、オランダのアッセンデルフト地方で生まれた伝統的なフォークアートの一種です。木製の皿や箱に、独特の筆致で色鮮やかな花々を描き出すのが特徴で、どこか懐かしくも華やかな雰囲気が漂います。芙佐子さんは、この西洋の技法と日本の折り紙という二つの文化を、その手で見事に融合させていたのです。

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世界のリーダーを魅了した「80代の母の手仕事」

外交の世界では、贈り物の選定は非常に繊細な問題です。高価すぎるものは相手を困惑させ、規則に抵触することさえあります。しかし、藤崎氏が「80歳を過ぎた私の母が作ったカードです」と差し出すと、どんな要人も顔をほころばせたといいます。金銭的な価値を超えた、世界に一つだけの温もりがそこには宿っているからです。

驚くべきことに、ブッシュ大統領やクリントン国務長官といった名だたる指導者たちからも、母・芙佐子さん宛てに直筆のお礼状が届いたそうです。SNS上でもこのエピソードに対し、「真のセレブは心のこもった一点物を大切にする」「日本の和紙の美しさは、最高の外交ツールになる」といった称賛の声が多く寄せられています。

また、藤崎氏の妻・順子さんが手掛ける「布の花」も、重要な役割を果たしました。これは古い着物の端切れ(着物裂)を再利用して作られるもので、母方の叔母から受け継いだ伝統の技です。生花と違ってアレルギーの心配がなく、軽量で持ち運びも容易なため、海外でのホームパーティやお見舞いの品として非常に重宝されました。

私自身の考えを述べさせていただけるなら、藤崎氏のこのスタイルこそ、現代の私たちが学ぶべき「おもてなし」の真髄だと感じます。既製品を買うのは簡単ですが、相手の生活空間を想像し、文化的な背景を添えて手渡す時間は、何物にも代えがたい価値を生みます。高価なブランド品よりも、物語のある贈り物のほうが記憶に残るものなのです。

藤崎氏は贈り物のアドバイスとして、相手の家になじむ「調和」の重要性を説いています。必ずしも伝統品にこだわらず、現地の形式に合わせたアニメDVDや最新の玩具を勧める柔軟さも持ち合わせています。大切なのは、相手を想って選んだというプロセスそのもの。2019年11月19日の藤崎氏の言葉は、人と人が心を通わせるための本質を突いています。

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