2019年11月19日、愛知県西尾市の養豚場にて、豚2頭が「豚コレラ(CSF)」に感染していることが判明したと県が発表しました。県内では17例目となるこの事態は、これまでの発生とは一線を画す深刻な状況を物語っています。なぜなら、この農場はすでにワクチンの接種を済ませていた場所だったからです。
該当する養豚場では、2019年11月6日に飼育されていた約1360頭のうち、親豚を中心とした837頭に対してワクチン接種が実施されていました。しかし今回、ウイルスの毒牙にかかったのは、接種対象から外れていた幼い子豚2頭だったのです。ワクチンを打ったからといって、農場全体が即座に鉄壁の守りを得られるわけではないという現実が突きつけられました。
そもそも豚コレラとは、豚やイノシシ特有の熱性伝染病であり、強い感染力と高い致死率が特徴の恐ろしい病気です。人間に感染することはありませんが、家畜業界にとっては死活問題となります。今回のケースは、国内でワクチン接種を開始して以降、接種済みの農場で感染が確認された全国初の事例として、関係各所に激震が走っています。
この事態を重く見た愛知県は、国の防疫指針に則り、農場内にいる1300頭を超えるすべての豚を殺処分する決断を下しました。同日夜に開かれた緊急対策会議において、大村秀章知事は「驚きしかない。大変残念な思いだ」と苦渋の表情で語っており、徹底した防疫体制を敷いていた中での悲報に、行政側も大きな衝撃を受けている様子が伺えます。
SNS上では、このニュースに対して「ワクチンを打っても防げないのか」「一生懸命育てた豚たちが不憫でならない」といった悲痛な声が相次いでいます。また、対象外の子豚から感染が広がった点に注目し、今後のワクチンプログラムの見直しを求める意見も散見されました。生産者の努力をあざ笑うかのようなウイルスの執拗さに、多くの国民が不安を隠せないでいます。
編集者としての私見ですが、今回の件は「ワクチンは万能薬ではない」という教訓を私たちに提示しています。対象外の個体が残る以上、そこがウイルスの侵入経路となるリスクは常に付きまといます。殺処分というあまりに過酷な結末を回避するためには、薬剤に頼るだけでなく、より高度な衛生管理と、隙のない接種スケジュールが不可欠であると感じざるを得ません。
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