2019年11月14日、日本民間放送連盟の大久保好男会長は定例記者会見にて、NHKのネット業務に対する総務省の姿勢を全面的に支持する意向を明らかにしました。これは高市早苗総務相が、NHKのテレビ番組ネット同時配信に関する実施基準案に対し、異例の再検討を求めたことを受けての反応です。大臣が示した「肥大化への懸念」は、民放各社が長年抱いてきた危機感と見事に合致したといえるでしょう。
SNS上では「受信料を財源とするNHKが際限なくネット進出するのは不公平だ」という声が上がる一方で、「利便性を優先してほしい」という視聴者側の意見も散見され、議論が白熱しています。今回の総務省の要請には、東京五輪関連を除いたネット業務費用を受信料収入の2.5%以内に収めるという、具体的な数値目標が含まれました。これは公共放送としての役割を逸脱させないための、非常に重要な歯止めになると予想されます。
ここで注目すべき「同時配信」とは、放送中のテレビ番組をインターネットでもリアルタイムで視聴可能にする仕組みを指します。大久保会長は、民放の経営基盤を脅かさないよう、NHKには節度を持った段階的な運用を強く求めました。国民の負担である受信料を原資とする以上、民間企業との健全な競争環境を壊さない配慮は、放送業界の多様性を維持するために不可欠な視点ではないでしょうか。
GAFAに対抗する「放送界の結束」が鍵を握る
一方で、放送業界を取り巻く環境は、国内の勢力争いを超えた厳しい局面に立たされています。大久保会長が指摘するように、外資系の巨大プラットフォーマーや動画配信サービスが台頭し、既存のテレビメディアに強烈な揺さぶりをかけているのが現状です。NetflixやYouTubeといった強力なライバルを前に、もはやNHKと民放が足の引っ張り合いをしている余裕は残されていないのかもしれません。
こうした危機感を背景に、新たな協力の形も芽生え始めています。民放各社が共同設立した動画配信基盤「JOCDN」へNHKが出資を決定したことは、その象徴的な一歩と言えるでしょう。JOCDNはコンテンツを効率よく配信するための技術提供を行う企業であり、ここにオールジャパンの体制が構築される意義は極めて大きいです。共通の課題に立ち向かうためのこの連携は、高く評価されるべき変革です。
私は、NHKには公共放送としての矜持を守りつつ、民放との共存共栄を図る高度なバランス感覚が求められていると考えます。デジタル時代のインフラとして放送の価値を再定義するには、対立ではなく、今回の資本提携のような「技術と信頼の共有」こそが道標となるはずです。2020年の大きな節目を前に、日本のメディアがどのような進化を遂げるのか、今後も目が離せない状況が続いていくでしょう。
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