「手りゅう弾」という言葉を耳にしたとき、多くの方は映画のワンシーンや遠い異国の戦場を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、本来は戦地で使われるはずの強力な軍用兵器が、私たちの暮らす日本の街なかで、あろうことか一般市民に向けて凶器として振るわれた過去があります。
2003年8月18日、北九州市において暴力団排除を掲げる飲食店に手りゅう弾が投げ込まれ、従業員11名が重軽傷を負うという凄惨な事件が発生しました。SNS上では「日本国内の出来事とは思えない」「恐ろしすぎる」といった驚きと憤りの声が、当時の記憶と共に今なお語り継がれています。
その後も北九州では、企業の幹部宅が狙われるなど手りゅう弾を用いた事件が相次いで発生しました。福岡県警が市民に対し「見つけても絶対に触れたり蹴ったりしないでください」と異例の呼びかけを行うほど、事態は深刻を極めていたのです。
住宅街の倉庫から、戦車をも破壊しうる「ロケットランチャー」が発見されたという事実は、当時の社会に大きな衝撃を与えました。警察が組織のトップを逮捕し、反転攻勢に出るまでには、あまりにも長い時間と多大なる労力を要したのが実情です。
軍用自動小銃の脅威と「笑えない」現実
手りゅう弾の恐怖も冷めやらぬなか、2019年11月27日には兵庫県尼崎市の路上で、指定暴力団・山口組の分裂抗争に絡む衝撃的な殺害事件が起きました。犯行に使用されたのは、拳銃とは比較にならない殺傷能力を持つ「自動小銃」という軍用の武器でした。
自動小銃とは、引き金を引き続けることで弾丸を連続して発射できる強力な火器を指します。犯行現場はたまたま路上でしたが、当初は店内での襲撃も計画されていたといいます。もし実行されていれば、関係のない市民が巻き込まれる惨劇は避けられなかったでしょう。
警察による銃器の押収数は近年減少しているものの、今回の事件は「あるところには、まだある」という冷酷な現実を突きつけています。武器がどのようなルートで国内に持ち込まれるのか、その供給源を根絶しない限り、私たちの安全は常に脅かされたままです。
「日本で最も武器を持つのは自衛隊、次が警察、そして3番目が山口組である」。警察関係者の間で囁かれるこのブラックジョークは、もはや笑い事では済まされません。国家の暴力装置に次ぐ規模の武装を反社会的勢力が保持している事実は、法治国家として断じて許されるべきではないでしょう。
編集者としての私見ですが、こうした軍用兵器が容易に使われる背景には、組織間の歪んだ誇示と、一般人の日常を顧みない独善的な論理が透けて見えます。警察には抗争の徹底的な封じ込めとともに、武器流入経路の解明に向けた抜本的な捜査を強く期待します。
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