スペインのマドリードで熱い議論が交わされている「第25回気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)」は、2019年12月10日からいよいよ閣僚級会合のステージへと移ります。今回の最大のミッションは、2020年から本格的に始動する「パリ協定」の運用ルールを細部まで確定させることです。地球の未来を守るための国際的な約束事が、実効性のあるものになるかどうかの瀬戸際に立たされています。
特に注目されているのが、国を越えて温室効果ガスの削減量をやり取りする「排出量取引」のルール作りです。これは、先進国が持つ優れた省エネ技術を途上国へ提供し、そこで実現した削減分を自国の成果としてカウントできる仕組みを指します。いわば、世界全体で効率よく温暖化を防ぐための「協力のバトン」なのですが、その計算方法を巡って各国の思惑が激しくぶつかり合っているのが現状です。
SNS上では、連日のように議論の停滞を危惧する声が上がっています。「環境問題に国境はないはずなのに、自国の利益ばかり優先されている」という厳しい意見や、「小泉環境相の発信力に期待したい」といった日本の役割を注視する投稿が目立っています。世界中の人々が、単なる数字の調整ではなく、実質的な気候変動対策が進むことを切実に願っている様子が伝わってきます。
二重計上のリスクと途上国の主張が招く対立の火種
現在、ブラジルやインドといった途上国は、共同で削減した分を自国の実績にも含めたいと主張しています。しかし、ここで大きな問題となるのが「二重計上」の懸念です。一つの削減成果を両方の国がカウントしてしまえば、帳簿上は地球が冷えているように見えても、実際の空球は一向に改善されないという「見せかけの削減」に陥ってしまいます。これはパリ協定の信頼性を根底から揺るがしかねない事態です。
もし今回の閣僚級会合でルールがまとまらなければ、他の重要な議論にも悪影響を及ぼし、温暖化対策そのものが大幅に遅れてしまうでしょう。専門家からも、合意に至らないことがパリ協定の歩みを止めるリスクについて強い警鐘が鳴らされています。産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑えるという大きな目標を達成するためには、もはや一刻の猶予も許されない状況にあります。
さらに、2020年11月にパリ協定からの離脱を表明している米国の動向も見逃せません。離脱を控えつつも代表団を派遣し、自国に有利な方向へ議論を誘導しようとする姿勢は、他国の反発を招く可能性があります。リーダーシップの不在が懸念される中で、いかにして各国の利害を調整し、一致団結した姿勢を打ち出せるかが、2019年12月13日の閉幕に向けた最大の焦点となるはずです。
石炭火力への批判を覆せるか?日本に課せられた重い宿題
日本からは小泉進次郎環境相が出席し、日本の脱炭素化への取り組みを世界にアピールする意欲を示しています。しかし、国際社会からの視線は極めて厳しいものです。日本は依然として石炭火力発電を維持する方針を変えておらず、温室効果ガスの削減目標も据え置いたままです。この姿勢に対し、「環境後進国」とのレッテルを貼る海外メディアもあり、日本が議論の主導権を握るには高い壁が存在します。
ここで筆者が強く感じるのは、日本は「言葉」だけでなく「背中」で語るべきだということです。技術力がある日本だからこそ、途上国の支援を通じた具体的な削減実績を積み上げ、ルールの透明性を訴える資格があるはずです。批判を恐れて守りに入るのではなく、新たなエネルギー構造への転換を明確に宣言することで、初めて国際社会における真のプレゼンスを示せるのではないでしょうか。
COP25は、単なる会議の場ではなく、人類が地球環境に対してどれだけ誠実になれるかを試す試金石です。先進国と途上国の対立を乗り越え、実効性のあるルールを2019年のうちに確立できるのか。日本の環境相がどのような手腕を発揮し、世界の期待に応えるのか、その動向から一瞬たりとも目が離せません。地球の未来を左右する決断の時は、すぐそこまで迫っています。
コメント