2019年12月05日から06日にかけて、世界のエネルギー市場を揺るがす重要な決断が下されました。サウジアラビアを筆頭とする「OPEC(石油輸出国機構)」と、ロシアなどの非加盟国で構成される「OPECプラス」が、原油の減産幅をこれまでの日量120万バレルから170万バレルへと大幅に拡大することで合意したのです。
さらにサウジアラビアは、公式な目標値を上回る自主的な減産も継続する姿勢を見せています。このニュースに対し、SNS上では「ガソリン代への影響が心配」「産油国の結束力が試されている」といった声が上がっており、私たちの生活に直結する原油価格の行方に、世界中から熱い視線が注がれていることが伺えるでしょう。
シェール革命がもたらした「アメリカの純輸出国化」という衝撃
なぜ、産油国たちはこれほどまでに供給を絞らなければならないのでしょうか。その最大の要因は、アメリカにおける原油生産の爆発的な増加にあります。2019年に入り、米エネルギー省の統計では生産量が日量1300万バレルに迫る勢いを見せており、これは2012年当時の約2.2倍という驚異的な数字です。
背景にあるのは「シェール革命」です。これは、地下深くの硬い岩の層(シェール層)から、最新技術を用いて原油やガスを抽出する手法が確立されたことを指します。この影響でアメリカは、2019年09月時点で原油や石油製品の輸出量が輸入量を上回り、ついに「純輸出国」へと転換を遂げました。
アメリカが中東などからの輸入を減らした結果、国際的な需給バランスは大きく緩むこととなりました。かつて市場を支配していたOPECが、ライバルであるはずのロシアと手を組まざるを得なくなった背景には、こうした「シェア低下」への強い危機感があると言っても過言ではありません。
世界経済の減速と米中貿易摩擦の影
供給が増える一方で、需要の伸びは深刻な停滞を見せています。2019年を通じて激化し続けている米中貿易摩擦の影響で、世界経済の先行きの不透明感が増しているためです。国際エネルギー機関(IEA)も、現在の生産水準を維持すれば2020年には供給過剰に陥ると警告を発しています。
今回の減産合意を受けて2019年12月06日の原油先物価格は一時的に上昇しましたが、それでも04月の高値と比較すれば1割以上も低い水準に留まっています。日本のような資源輸入国にとっては原油安はコスト低減の追い風となりますが、手放しで喜んでばかりもいられません。
もし原油価格が暴落すれば、産油国の経済は破綻し、莫大な投資資金(オイルマネー)の引き揚げや中東情勢の混乱を引き起こすリスクがあるからです。私個人の見解としても、エネルギー価格の安定は世界経済の「命綱」であり、極端な価格変動は誰も得をしない悲劇を招くのではないかと危惧しています。
結局のところ、原油安の根底にあるのは「モノが売れない、動かない」という世界貿易の縮小です。当事者である米中両国は、この市場からの警告を真摯に受け止めるべきでしょう。今こそ歩み寄りを見せ、世界経済をこれ以上冷え込ませないための賢明な舵取りが求められています。
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