私たちの生活を劇的に進化させてきた電池の技術革新は、今や産業のあり方そのものを根底から塗り替えようとしています。その象徴とも言えるのが、世界中で普及が加速している電気自動車(EV)の存在です。地球規模での環境意識の高まりを背景に、リチウムイオン電池は単なる動力源を超え、次世代社会を支える「心臓部」としてかつてないほど重要な任務を背負っています。
リチウムイオン電池とは、リチウムイオンが正極と負極の間を移動することで充放電を行う二次電池(充電して繰り返し使える電池)のことです。小型で軽量ながら、非常に高い電圧とエネルギー密度を誇るのが最大の特徴となります。この優れた特性が、重い車体を動かす必要があるEVの進化を支えており、現代のクリーンエネルギー社会には欠かせないテクノロジーとして君臨しているのです。
2035年には市場が17倍に!加速する世界的なEVシフトの潮流
今後の展望について、専門調査機関の富士経済は驚くべき予測を立てています。2035年におけるEVの世界市場は、新車販売台数ベースで2200万台に達し、2018年比で約17倍という猛烈な勢いで膨らむ見通しです。この背景には、各国政府による環境規制の厳格化があります。排気ガスを出さないEVへの転換は、脱炭素社会の実現に向けた避けては通れない道となっているのでしょう。
特に欧州諸国の動きは迅速で、フランスや英国は2040年までにガソリン車およびディーゼル車の販売を全面的に禁止する方針を打ち出しました。SNS上でも「いよいよエンジン車の時代が終わるのか」「電池の進化が地球を救う鍵になる」といった期待の声が数多く上がっています。こうした国際的な潮流が、リチウムイオン電池の需要をさらに押し上げる強力なエンジンとなっていることは間違いありません。
「移動手段」から「非常用電源」へ!災害時に真価を発揮するEVの底力
最新のトレンドとして注目したいのが、EVを「動く蓄電池」として活用する試みです。日産自動車は、災害時の停電対策としてEVを自治体の公用車に導入し、非常用電源として役立てる防災協定の締結を進めています。2018年5月からスタートしたこの取り組みは、2019年度内に30件まで拡大する計画となっており、地域防災の新しい形として大きな期待が寄せられているのです。
また、ホンダはEVに蓄えた電気を家庭へ供給したり、太陽光パネルで発電した直流電力を家庭で使える交流電力に変換したりする高度な充電システムを開発しました。ネット上では「停電しても車があれば電気が使えるのは心強い」といった、実用面でのメリットを評価する意見が目立ちます。もはやEVは単なる移動のための道具ではなく、私たちの暮らしの安全を守るインフラの一部へと進化を遂げようとしています。
使い終わった電池も宝の山?広がるリユースビジネスの可能性
さらに、電池の寿命を逆手に取った新しいビジネスも産声を上げています。伊藤忠商事は、2020年にも車載用電池のリユース事業を開始する予定です。一般的にEV用電池の寿命は8年から10年程度と言われていますが、走行用としての役割を終えた後でも、家庭用や産業用の蓄電池としては十分な性能を維持しています。この「資源」を無駄にせず、再生可能エネルギーの貯蔵に役立てようという画期的な試みです。
中国のBYDなど世界的な企業と連携し、この事業はオーストラリアを皮切りに日本や米国へと展開される見込みです。また、NTT西日本と日産が2019年度中にも開始する計画の、EV「リーフ」を活用したビル電力効率化サービスも目が離せません。リチウムイオン電池を軸にしたエコシステムは、環境保護と経済成長を両立させる、まさに未来を拓くための魔法の杖と言えるのではないでしょうか。
コメント