2019年11月28日、冷え込んだ日韓関係に一石を投じる新たな動きが報じられました。韓国国会の文喜相(ムン・ヒサン)議長が、元徴用工問題を解決するための法整備に乗り出したのです。この提案は、日韓両国の企業と個人から寄付を募り、基金を設立して原告へ支給金を支払うという、いわば「官民一体の救済策」といえる内容になっています。
「代位弁済(だいいべんさい)」という言葉をご存知でしょうか。これは、本来の債務者である日本企業の代わりに、第三者である基金が支払いを行う仕組みを指します。文議長の案では、約3000億ウォン(約280億円)規模の基金を想定しており、2019年11月27日までに与野党や団体への説明が進められました。日本側の法的責任を直接問わない形をとることで、外交的な妥協点を見出そうとする狙いが透けて見えます。
SNSでも話題!「歴史の解決」か「責任の回避」か
このニュースに対し、SNS上では「ようやく現実的な落とし所が見えてきたのではないか」と期待する声が上がる一方で、「これでは根本的な解決にならない」という厳しい批判も渦巻いています。ネット上では、日本側の資産が差し押さえられ、現金化されるという最悪の事態を避けたいという焦燥感と、過去の歴史に対する矜持がぶつかり合っている様子が伺えます。
特筆すべきは、韓国政府が表向きは「議長独自の動き」としつつも、内実では期待を寄せている点でしょう。文大統領に近い関係者からは、国会が特別法を作ることで政府の外交カードが増えるとの肯定的な意見も漏れています。2019年12月に予定される日韓首脳会談を前に、なんとか対話の糸口を掴みたいという政権側の切実な思いが、このタイミングでの法案提示に繋がったのでしょう。
原告側の猛反発と、立ちふさがる高い壁
しかし、この「文喜相案」の前途は極めて多難です。2019年11月27日にソウルで会見した原告支援団体は、日本企業の直接的な賠償と謝罪がないことを理由に、法案の撤回を強く求めました。「誰に責任があるのかを曖昧にする解決策は、被害者の心の傷を癒やすことにはならない」という彼らの主張は、人権問題としての本質を突いています。
編集者としての私見ですが、この問題は単なる金銭の授受ではなく、「納得感」をいかに醸成するかが鍵となります。法的解決を優先すれば国民感情が燃え上がり、感情を優先すれば国際的な約束が揺らぐという、まさにジレンマの真っ只中にあります。2020年4月に総選挙を控える韓国政権にとって、国内の反日世論をどう説得し、日本との実利を取るのか、極めて高度な政治判断が求められるでしょう。
茂木敏充外相が「国際法違反の状態の是正」を求める姿勢を崩さない中、韓国側がこの「基金案」をどこまで具体化できるかが今後の焦点です。2019年11月現在の緊迫した状況を見る限り、日韓の溝が埋まるには、まだ幾つもの「対話のハードル」を越える必要がありそうです。
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