2019年12月11日の夜、都内のホテルは熱気に包まれていました。日本経済新聞社やテレビ東京などが主催する「年末エコノミスト懇親会」が開催され、安倍晋三首相や日銀の黒田東彦総裁を含む約400名のリーダーたちが一堂に会したのです。令和の始まりを経て、次なる大きな節目である2020年を目前に、日本経済の舵取りを担う面々が何を語るのかに注目が集まっています。
壇上に立った安倍首相は、デジタル技術が社会を根本から変える「第4次産業革命」の到来を強調されました。これはAIやIoT、ビッグデータを活用して生産性を劇的に高める変革を指します。首相は、官民が「ワンチーム」となってこの荒波を乗り越え、日本経済をさらなる成長軌道に乗せる決意を表明されました。SNSでは「デジタル化への対応が急務だ」という声が広がるなど、変革への期待が高まっています。
日銀総裁が示す「明るい兆し」と五輪特需への期待
2020年の世界情勢について、日銀の黒田東彦総裁はポジティブな見解を示されました。米中貿易摩擦の緊張が和らぎつつあることを背景に、世界経済全体に「明るい兆し」が見えていると分析されています。中央銀行のトップが示す強気な姿勢は、不透明な情勢に不安を感じる市場関係者にとって、一定の安心材料となったに違いありません。
特に注目すべきは、開催が間近に迫った東京五輪による経済効果でしょう。第一生命経済研究所の永浜利広氏は、夏場にかけて消費が爆発的に伸びる「特需」に太鼓判を押しています。訪日外国人客数は3500万人を突破し、その旅行消費額は5兆円を優に超えるとの予測です。街中に活気が溢れ、観光業を中心に日本中が潤うシナリオに、多くの人が胸を躍らせているのではないでしょうか。
慎重派が警鐘を鳴らす「米中関係」と「地政学リスク」
一方で、楽観論ばかりではありません。日本郵船の長沢仁志社長は、米中摩擦がもたらす世界経済の減速に強い警戒感を示しています。さらに、中東情勢などの「地政学リスク」にも触れられました。これは特定の地域における政治的・軍事的な緊張が、原油価格や物流を通じて経済に悪影響を与えるリスクのことです。紛争が現実となれば、回復基調にある経済に冷や水を浴びせかねないと危惧されています。
2020年11月に控える米大統領選も、大きな不確定要素といえるでしょう。日本総合研究所の呉軍華氏は、野党・民主党の候補者選びが鍵を握ると指摘しています。もし進歩派の候補者が台頭すれば、対中姿勢がさらに強硬になり、再び米中間の緊張が高まる恐れがあるからです。海の向こうの政治動向が、私たちの財布事情に直結する時代であることを改めて痛感させられます。
将来世代への投資と、日本経済が抱える課題
みずほフィナンシャルグループの佐藤康博会長によれば、2020年の日本経済の成長率は0.3%程度にとどまるという厳しい予測もあります。個人消費や設備投資の勢いが鈍る中、金融緩和による粘り強い支えが必要だとの意見です。景気の「光」を強調する政府側と、実体経済の「影」を注視する民間側、この温度差こそが現在の日本が置かれている複雑な立ち位置を象徴しています。
最後に、経済同友会の桜田謙悟氏は、若者が希望を持てる社会の構築を強く訴えました。財政や社会保障の健全性をチェックする「独立財政機関」の設置を提案されています。私個人の意見としても、目先の五輪景気に浮かれるだけでなく、将来世代に負担を先送りしない仕組み作りこそ、今取り組むべき最優先事項だと確信しています。2020年を真の「飛躍の年」にするための議論は、まだ始まったばかりです。
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