2019年12月11日の東京株式市場において、商用車国内最大手である日野自動車の株価が力強い輝きを放ちました。なんと6営業日連続の続伸を記録し、前日比で22円(2%)高となる1173円で取引を終了しています。この水準は約1年ぶりの高値圏となり、市場関係者の間でも同社の勢いに注目が集まっている状況です。
株価を押し上げる大きな要因となったのが、2019年12月5日に政府が閣議決定した大規模な経済対策です。国や地方からの財政支出を13兆円規模にまで積み上げるこの政策は、建設業界や物流業界にダイレクトな好影響を及ぼすと予測されています。インフラ整備が進むことで、同社の主力製品である大型トラックなどの需要が急増するとの思惑が、投資家心理を強気にさせているのでしょう。
SNS上では「いよいよ建設ラッシュが本格化するか」「日野のトラックを街で見かける機会がさらに増えそうだ」といった期待感に満ちた投稿が目立っています。民間の支出まで含めた事業規模が26兆円に達するという壮大な見通しは、まさに市場に投じられた一石と言えます。長らく停滞感のあった国内市場において、今回の経済対策は強力な追い風となることは間違いありません。
ゴールドマン・サックス証券の湯沢康太氏も、2019年12月5日付のリポートにて、予算成立後の政府建設投資の拡大がトラック需要を中長期的に底上げする可能性を指摘しています。投資判断として「買い」を強調する姿勢は、プロの目から見ても同社のポテンシャルが極めて高いことを証明しています。私個人としても、物流の要であるトラック需要の回復は、日本経済全体の活性化を占う先行指標になると確信しています。
海外市場の夜明けと投資判断のポイント
国内だけでなく、苦戦を強いられてきた海外市場にも明るい兆しが見え始めています。特に注目の市場は、これまで前年割れが続いていたインドネシアです。足元では販売台数のマイナス幅が着実に縮小しており、インフラ投資の再加速に伴う需要回復が現実味を帯びてきました。世界的な景況感の改善期待も相まって、機関投資家による買い戻しの動きが活発化しています。
同社は2019年10月末に、海外販売の不振を受けて2020年3月期の業績予想を下方修正していました。しかし、市場の関心はすでに「来期以降のV字回復」へとシフトしています。現在の株価推移を見れば、過去の業績不振はすでに織り込み済みであり、投資家は先にある成長シナリオに資金を投じていることが伺えます。逆風を跳ね返す日野自動車の底力には、目を見張るものがあります。
一方で、指標面では冷静な視点も必要です。今期の予想PER(株価収益率)は16倍台となっており、これは株価が1株あたりの利益に対して何倍まで買われているかを示す指標です。競合のいすゞ自動車が10倍台であることと比較すると、日野自動車にはやや割高感も漂います。期待が先行して買われている分、実需が伴うかどうかが今後の焦点となるでしょう。
大和証券の箱守英治氏が指摘するように、2019年8月の安値から50%近く上昇した現在の局面は、急ピッチな反転から一度踊り場を迎える可能性も否定できません。しかし、私はこの「横ばい」こそが、次なる飛躍に向けたエネルギー充填期間であると捉えています。国内外のインフラ需要という確かなバックボーンがある以上、日野自動車の快走は今後も続いていくはずです。
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