世界経済の体温計とも呼ばれる非鉄金属の代表格「銅」が、マーケットで熱い注目を集めています。2019年12月10日、ロンドン金属取引所(LME)における銅の3カ月先物価格が、1トンあたり6,100ドルの終値を記録しました。これは同年5月中旬以来、およそ7カ月ぶりの高水準となります。わずか1週間前と比較しても5%もの急騰を見せており、投資家の間では「いよいよ景気回復のサインか」と期待の声が広がっているのです。
今回の価格高騰を牽引したのは、世界最大の銅消費国である中国の力強いデータでした。2019年12月8日に中国税関総署が発表した11月の貿易統計によれば、銅材の輸入量は前年同月比で6%増となる48万3千トンに達しています。これは2018年9月以来、実に14カ月ぶりの高水準です。銅はインフラから家電、電気自動車まで幅広く使われるため、この数字は中国国内の産業活動が活発化している可能性を強く示唆しています。
さらに、米国から届いたポジティブなニュースも追い風となりました。11月の米非農業部門雇用者数が市場の予想を大きく上回る伸びを見せたことで、世界的な景気減速への過度な不安が和らいだのでしょう。SNS上では「米中の指標が揃って改善するのは心強い」「底を打った感がある」といったポジティブな反応が目立ち、これまで売り越していたファンドなどの投機筋が、慌てて買い戻しに動いた様子が伺えます。
本格的な需要回復へのハードルと今後の展望
しかし、この上昇気流が本物かどうかについては、慎重な見方も根強く残っています。専門家の間では、今回の中国の輸入急増について「年末年始の大型連休を控えた一時的な在庫確保、いわゆる駆け込み需要ではないか」という分析も少なくありません。銅の価格は、実需、つまり実際に工場や建設現場で使われる量に左右されるため、製造業全体の景況感が持続的に上向く確証が得られるまでは、手放しでの楽観は禁物といえるでしょう。
筆者の視点としては、現在の銅相場の上昇は、米中貿易摩擦の緩和ムードを先取りした「期待先行」の側面が強いと感じています。確かに最悪期は脱したように見えますが、銅価格がさらなる高みを目指すには、スペック的な買いだけでなく、実体経済における継続的なニーズの証明が不可欠です。2019年12月11日時点でも価格は高値を維持していますが、これが一過性のブームに終わるのか、長期的な上昇トレンドの入り口なのか、今はまさに正念場です。
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