2019年12月12日、神奈川県のビジネスシーンに衝撃を与えるデータが発表されました。東京商工リサーチ横浜支店の最新調査によると、県内企業における「後継者不在率」が72%という、極めて深刻な水準に達していることが判明したのです。この数値は全国平均の56%を16ポイントも上回っており、都道府県別で唯一の70%超えという不名誉な記録となってしまいました。
SNS上では「地元のお気に入りのお店がなくなってしまうかも」「神奈川はベンチャーが多いから新陳代謝が激しいだけでは?」といった不安や疑問の声が相次いでいます。確かに神奈川県は起業が非常に盛んな地域であり、設立から日が浅いために次世代の育成が追いついていない若い企業も少なくありません。しかし、その裏側では長年地域を支えてきた老舗や中小企業の存続が危ぶまれているのです。
全業種で広がる危機と「事業承継」の重要性
今回の調査結果を詳しく見ていくと、特に情報通信業での不在率が78%と際立って高く、全業種において6割を超えるという異常事態が浮き彫りになりました。ここで重要となるキーワードが「事業承継(じぎょうしょうけい)」です。これは単に社長の椅子を誰かに譲るという意味だけでなく、企業の理念や独自の技術、そして従業員の雇用を次世代へと引き継ぐ非常にデリケートなプロセスを指します。
代表者が高齢になってもバトンタッチが進まない現状は、地域の経済基盤を揺るがしかねません。事実、代表者が70代の企業でも約4割、80歳以上の高齢者がトップを務める組織であっても3割以上で後継者が決まっていないのです。引退の時期が刻一刻と迫っているにもかかわらず、道筋が見えていない企業がこれほど多い事実は、もはや個別の会社だけの問題ではなく社会全体のリスクと言えるでしょう。
私は、この事態を単なる「人手不足」として片付けるべきではないと考えています。後継者選びは、親族内での継承にこだわらず、M&A(合併・買収)や外部人材の登用といった柔軟な選択肢をもっと前向きに検討すべきフェーズに来ているのではないでしょうか。伝統を守ることは大切ですが、変化を恐れて廃業を選んでしまうことこそ、地域にとって最大の損失になるはずです。
もし代表者の急病などで経営が突然ストップしてしまえば、取引先は販路を失い、従業員は明日からの職場を失うという負の連鎖が巻き起こります。2019年12月12日現在のこの数字を重く受け止め、行政や金融機関を含めた包括的なサポート体制の構築が急務です。神奈川の経済を支える「宝」である中小企業の火を絶やさないための、真剣な議論が今こそ求められています。
コメント