2019年のノーベル化学賞に輝いた旭化成名誉フェローの吉野彰氏が、ついに決戦の地であるスウェーデンのストックホルムに降り立ちました。現地時間の2019年12月6日午前、吉野氏は市街にあるノーベル博物館を訪問し、歴代の受賞者たちが残してきた「伝統の儀式」に臨んでいます。それは、博物館内にあるカフェの椅子の裏側に自筆のサインを書き記すという粋な恒例行事です。
この日、現地は小雨がパラつく肌寒い空気に包まれていましたが、吉野氏は報道陣に対して柔和な笑みを浮かべ、会釈をしながら博物館を後にしました。SNS上では「あの有名な椅子へのサイン!本当におめでとうございます」「吉野先生の笑顔を見るとこちらまで嬉しくなる」といった、日本からの温かな祝福の声が次々と上がっています。まさに、国民的な英雄が世界に認められた瞬間を、誰もが心待ちにしていたことが分かります。
吉野氏は単にサインを残しただけではなく、人類の生活を一変させた「リチウムイオン電池」の歩みを象徴する貴重な品々も寄贈されました。1983年に初めて試作されたガラス製電池の模型や、現代の構造の基礎となった1985年当時の試作品など、計4点が博物館のコレクションに加わります。これらは、持ち運び可能なデジタル社会を支える技術がどのように産声を上げたのかを、後世に伝える重要な証人となるでしょう。
ここで少し専門的なお話をすると、リチウムイオン電池とは、リチウムイオンが正極と負極の間を移動することで充放電を繰り返す二次電池(充電して繰り返し使える電池)のことです。吉野氏が開発したこの技術は、スマートフォンやノートパソコンだけでなく、電気自動車の普及にも欠かせない存在となっています。小型で高電圧、かつ長寿命という特性が、私たちのモバイルライフを根底から支えているのです。
2019年12月5日の夕方にストックホルムへ到着したばかりの吉野氏ですが、旭化成の広報担当者によれば、長旅の疲れも見せず非常にバイタリティに溢れているとのことです。私自身の見解としても、科学の進歩に人生を捧げた方のバイタリティには敬服するばかりであり、その情熱こそが「不可能」を「可能」に変えてきた原動力なのだと感じずにはいられません。日本が誇るべき偉大な知性が、いよいよ最高の舞台へ向かいます。
今後の予定としては、2019年12月7日の午前に記者会見が行われることになっており、共同受賞者のマイケル・スタンリー・ウィッティンガム教授も出席する見込みです。そして最大のハイライトである授賞式は、2019年12月10日の夕方に開催されます。吉野氏は現地で新調した燕尾服に身を包み、国王陛下から授与されるメダルを手にする予定で、その輝かしい姿が今から待ち遠しくてなりません。
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