地方創生の新たなモデルとして注目を集める徳島県神山町で、2019年6月21日、未来のイノベーターを育成するための画期的な取り組みがスタートしました。高速光ファイバー網の整備を機に、多くの企業のサテライトオフィスが集積するこの地に、「次世代型」の私立高等専門学校(高専)が設立される計画です。専門的な技術や知識を身につけるだけでなく、起業家精神、すなわちアントレプレナーシップを持った人材の育成を目的としています。この新しい学び舎は、2023年4月1日の開校を目指しており、実現すれば全国で4校目となる私立高専になる見通しです。
設立プロジェクトの説明は、同日開催された町議会全員協議会で行われました。準備委員会は、中心人物である名刺管理ソフトで知られるSansan株式会社(本社:東京都渋谷区)の寺田親弘社長が個人として参画しているほか、地域の活性化に尽力するNPO法人グリーンバレーの大南信也理事、そしてクリエイティブ分野のプロフェッショナルである電通の国見昭仁エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクターら、計14名の多彩なメンバーで構成されています。今後は、神山町や地域住民との対話を重ねながら、具体的な学校運営の方針、学生の選抜方法、そして教育カリキュラムなどの詳細を詰めていくことになります。
学校名は「神山まるごと高専」と発表されました。情報技術(IT)、人工知能(AI)、デザイン、そしてアートなど、現代社会のフロンティアを学ぶカリキュラムが構想されています。修業期間は5年間で、全寮制を導入し、1学年の定員は40名とする計画です。起業家精神を育むため、学生たちは技術だけではなく、それを社会で実現する力も養うことになるでしょう。設立にかかる費用については現在精査中ですが、寺田氏が個人として一部を拠出する方針を示しており、その熱意が伝わってきます。
神山町もこのプロジェクトに積極的に協力する意向で、学校や学生寮の用地提供などを行う方向で調整が進められています。また、賛同する企業などからの寄付や、「ふるさと納税」の仕組みを活用した資金調達も視野に入れられています。寺田氏からは「Sansanは、神山町に初めてサテライトオフィスを開設した企業。この地で、新たな道を切り拓く『開拓者』となる人材を育成したい」という強い決意が述べられており、地域と企業が一体となって未来のリーダーを育もうとする姿勢に、大きな期待が寄せられます。
このニュースが報じられると、SNSなどでは「地方からイノベーションが生まれる予感がする」「起業家育成に特化した高専は画期的」「神山町がさらに注目されそう」といったポジティブな反響が広がっています。特に、ITやAIといった最先端技術と、デザインやアートといった感性を融合させる教育方針は、創造的な人材が求められる現代において、極めて魅力的だと感じる方が多いようです。専門学校としての「高専」は、実践的な技術教育を行う教育機関ですが、そこに「起業家精神」を重点的に加えることで、単なる技術者ではなく、自ら事業を生み出す力を養うという点で、これまでの高専とは一線を画すと言えるでしょう。
私見ではありますが、この「神山まるごと高専」の取り組みは、現在の日本が抱える人材育成と地域活性化という二つの大きな課題に対する、一つの有力な回答になり得ると感じています。都市圏への人口集中が進む中で、地方から質の高い教育を提供し、全国から意欲ある若者を集める試みは、地域社会に新たな活力を注入するでしょう。また、単なる技術の習得に終わらず、寺田氏が言う「開拓者」を育てるという目標は、停滞感の漂う日本社会に風穴を開け、新しい価値を創造できる起業家やイノベーターを輩出する土壌になると確信しています。今後、このプロジェクトがどのように進展していくのか、注目していきたいと考えています。
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