ギタリストの皆さんにとって、自宅での練習環境を整えることは永遠の課題ではないでしょうか。ローランドが「BOSS」ブランドから満を持して発表した「WAZA-AIR」は、そんな悩みを一気に解消してくれる画期的なヘッドホン型アンプです。2019年12月14日に発売が開始されたこの製品は、同社初となる試みが随所に散りばめられており、発売から1年間で世界累計3万台の販売を見込むという野心的なプロジェクトとなっています。
このデバイスの最大の特徴は、ケーブルの煩わしさから完全に解放される完全ワイヤレスシステムにあります。専用の送信機をギターに差し込むだけで、超低レイテンシー、つまり音の遅延がほとんどない状態で演奏を楽しめるのです。深夜の住宅街やマンションであっても、周囲に騒音の迷惑をかける心配は一切無用となります。自分だけの世界に没入できるこの自由さは、既存のアンプにはなかった大きな魅力といえるでしょう。
スタジオの空気感まで再現する立体音響の魔法
単なる音の良いヘッドホンに留まらないのが、この製品の凄みです。内蔵されたジャイロ・センサーがプレイヤーの頭の動きを検知し、音の鳴る位置をリアルタイムで変化させます。これによって、まるで背後にある大型スピーカーから音が響いているような、圧倒的な臨場感を生み出すのです。スタジオでアンプを鳴らしているあの「空気感」を再現する技術は、ヘッドホン演奏にありがちな「耳に張り付くような音」という概念を根底から覆してしまいます。
サウンドの核となる部分は、多くのプロに愛用されるロックアンプの名機「KATANA」シリーズの遺伝子を継承しています。激しく歪ませる「ハイゲイン・アンプ」を含む5種類の個性的なアンプ・タイプが搭載されており、ジャンルを選ばず演奏を楽しめるはずです。さらに、音に広がりを持たせるリバーブや、音を揺らすコーラスといった「エフェクト」も50種類以上用意されており、音作りの可能性は無限大に広がっています。
スマートフォンとの連携機能も非常にスマートです。Bluetooth接続を活用して専用アプリを操作すれば、手元で細かな音色設定が可能になります。お気に入りの楽曲を再生しながら自分の演奏を重ねることもできるため、憧れのギタリストとのセッション気分を味わいながら練習に励めるでしょう。特に、複雑なギターソロを繰り返し練習したい方にとって、このオーディオ・ストリーミング機能は強力な味方になるに違いありません。
SNS上では、発表直後から「家でのギターライフが激変しそう」「ついにワイヤレスの完成形が来た」といった期待の声が溢れています。税込4万4000円前後という価格設定は、高性能なアンプとエフェクター、そしてワイヤレスシステムを個別に揃える手間を考えれば、非常にコストパフォーマンスが高いと感じます。伝統的なアンプの鳴りにこだわるBOSSが、あえて「ヘッドホン」という形で提示したこの回答に、私は楽器業界の輝かしい未来を感じずにはいられません。
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