2019年12月17日、アメリカの上院議会において、2020会計年度の国防方針を決定づける「国防権限法案」が圧倒的な賛成多数で可決されました。この法案は、既に下院を通過しており、トランプ大統領の署名をもって正式に発効する見通しです。特筆すべきは、約7380億ドル、日本円にしておよそ80兆円という途方もない規模の予算が投じられる点でしょう。世界最強の軍事力を維持しようとする、アメリカの並々ならぬ決意がこの数字に表れています。
今回の法案における最大の注目点は、陸海空軍などに並ぶ第6の軍種として「宇宙軍」が新設されることです。現代の安全保障において、宇宙空間は通信やGPS、ミサイル防衛の要となっており、ここを制する者が次世代の主導権を握ると言っても過言ではありません。トランプ氏が強く求めてきたこの新組織の誕生に対し、SNS上では「ついにSFの世界が現実になるのか」といった驚きの声や、「宇宙の軍事化が進むのではないか」という懸念など、多様な意見が飛び交い大きな話題となっています。
中国・ロシアとの覇権争いと先端技術への投資
アメリカがこれほどの巨額予算を編成した背景には、中国やロシアとの激しい競争があります。特に人工知能(AI)や次世代通信規格である「5G」といった先端技術の開発に重点を置いているのが特徴的です。ここで言う5Gとは、超高速・低遅延を実現する通信技術のことで、戦場でのリアルタイムな情報共有を劇的に進化させます。軍事におけるAI活用は、判断の迅速化やドローンの自律制御などに直結するため、技術的な優位性を保つことが国家の存亡を左右する状況なのです。
また、今回の法案では経済安全保障の側面も極めて厳格に規定されました。中国への情報漏洩を徹底的に防ぐため、中国製ドローンの購入禁止に加え、国費を用いた中国国有企業製のリニアやバス車両の調達も新たに禁じられます。さらに、世界最大手の通信機器メーカーである「華為技術(ファーウェイ)」に対する輸出禁止措置を容易に解除できないようにする厳しい条項も追加されました。同社製品がインフラの根幹に入り込むことによるスパイリスクを、アメリカ政府は深刻に捉えています。
個人的な見解を述べれば、こうしたハイテク分野での「鉄のカーテン」とも呼べる切り離しは、自由貿易の理念に反する側面があるものの、安全保障の観点からは避けられない選択なのでしょう。一度インフラを握られれば、有事の際に国家の神経系を断たれるリスクがあるからです。今後は技術そのものの性能だけでなく、「どの国の技術か」という信頼性が、世界のマーケットや同盟関係において最も重要な価値基準となっていくに違いありません。
日米韓の同盟関係と駐留経費の透明性
日本に関連する項目では、在日米軍や在韓米軍の駐留経費に関する透明性が求められています。米政府に対し、両国の負担額などをまとめた詳細な報告書の作成を要請しており、今後の負担増を巡る交渉に影響を与える可能性があります。一方で、在韓米軍の削減を検討する場合には、日本や韓国との事前協議、さらには米議会への報告を義務付ける内容も盛り込まれました。これは独断での撤退を防ぎ、東アジアの安定を維持しようとする議会の強い意思表示と言えるでしょう。
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