佐々木朗希をどう育てる?名将・権藤博が吉井コーチに授けた「何もしない」という極意と責任の重み

2019年12月19日、球界のレジェンドである権藤博氏が、ロッテに入団した令和の怪物・佐々木朗希投手の育成方針について、非常に興味深い持論を展開されました。ロッテの吉井理人投手コーチから「権藤さんならどう教えますか」と直球の質問を受けた際、権藤氏は迷わず「何もせず、黙って見守るべきだ」と助言したそうです。高校時代に163キロという驚異的な球速を叩き出した大器を預かる現場の緊張感は、察するに余りあります。

SNS上ではこの「見守る」という究極の育成論に対し、「権藤さんらしい」「今の時代に必要な考え方だ」と共感の声が広がっています。一方で、これほどの大物を目の前にして「口を出さない」という選択ができる指導者は、果たしてどれほどいるのでしょうか。吉井コーチもかつての師弟関係からその意図を十分に理解していたようですが、あえて確認せずにはいられないほど、逸材を預かる責任の重さは計り知れないものだったに違いありません。

権藤氏が説く指導者の役割は、大きく分けて「守ること」と「認めること」の2点に集約されます。まず「守る」とは、過熱するマスコミ報道から選手を隔離し、心理的な負担を軽減させることです。プロの世界では、メディアがルーキーの些細な不調を針小棒大に報じる傾向があります。コーチの何気ない一言が「戦力外レベル」といった極端な見出しに変換され、本人の自信を削いでしまう危険性を権藤氏は強く警鐘を鳴らしています。

もしフォームに修正点を見つけたとしても、記者を介さず直接本人に伝えるのが鉄則だと言えます。マスコミの報道を通じて自らの課題を知るような事態は、コーチと選手の信頼関係を根底から壊しかねません。また、「認める」というプロセスについても、権藤氏は深い洞察を示しています。投手の真価はマウンドに立ち、実際に打者と対峙するまで誰にも分からないというのが、長年プロの厳しい世界を生き抜いてきた氏の結論です。

かつての田中将大選手や大谷翔平選手も、入団当初は素晴らしい球を投げながらも、意外なほど打たれる場面がありました。逆に球速がなくても打者が翻弄されるケースもあり、結果が出る前に安易にいじりすぎるのは得策ではないでしょう。私はこの考え方に強く賛同します。型にはめようとする日本の教育的指導が、時として天才の芽を摘んできた歴史を忘れてはなりません。佐々木選手の規格外の才能は、既存の枠組みでは測れないはずです。

さらに、権藤氏はドラフト1位も下位指名も「平等に接するべきだ」と説いています。特別扱いをしないことが、巡り巡って佐々木選手本人がチームに溶け込む助けになるという視点は、組織論としても非常に秀逸です。指導者が先入観を捨て、一人ひとりの個性を尊重して「認める」姿勢こそが、育成の第一歩と言えるでしょう。2019年12月19日、吉井コーチが受け取ったこの「静かなる助言」が、日本球界の未来を左右するかもしれません。

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