2019年12月19日、世界の金融市場では新興国通貨の勢力図が鮮明に塗り替えられつつあります。米中貿易摩擦の緊張緩和をきっかけに、停滞していたマネーが再び動き出しました。特にアジア諸国への資金流入には目覚ましいものがあり、投資家の視線は熱を帯びています。
一方で、政情不安や経済基盤の脆弱さを抱える国々は、その恩恵を十分に享受できていないのが現状です。SNS上でも「アジア通貨の安定感は心強いが、トルコリラの動向からは目が離せない」といった、期待と警戒が入り混じった声が数多く上がっています。
活況に沸くアジア市場とFRBの静観姿勢
米連邦準備理事会(FRB)が低金利を維持する方針を示したことで、投資家はより高い利回りを求めてリスクを取り始めました。FRBとは、日本における日本銀行のような役割を果たす米国の中央銀行であり、その金利政策は世界中の資金の流れを左右する羅針盤です。
市場では「2020年は利上げも利下げも行われない」という見方が強まり、米国の長期金利が上がりにくい状況が生まれています。この流れを受け、2019年に入ってからタイのバーツは約7%も上昇し、実におよそ6年ぶりの高値水準を記録しました。
前年に苦戦を強いられたインドネシアのルピアやフィリピンのペソも、2019年初来で3%から4%程度の堅調な伸びを見せています。これらの国々の底堅い経済成長率が、通貨価値を支える強力なエンジンとなっていることは間違いありません。
苦境を脱せないトルコと南米の「負の連鎖」
光が差すアジアの裏側で、トルコや南米諸国は深刻な影を落としています。トルコリラは安値圏をさまよい、アルゼンチンでは資本規制による必死の防衛策が続いています。これらの地域に共通するのは、経済の基礎的条件であるファンダメンタルズの弱さです。
特に経常赤字、つまり輸出などで稼ぐお金よりも、海外へ支払うお金が多い状態が続いており、経済の体力が奪われています。さらに、南米での反政府運動やトルコの外交問題といった政治的リスクが、投資家の心理に冷や水を浴びせているのが実情でしょう。
SNSでは、かつての暴落で損失を被った投資家たちの悲痛な叫びも散見されます。一度失った信頼を取り戻すのは容易ではなく、運用マネーが潤沢にある現代においても、投資家は非常にシビアな選別を投げかけているのです。
編集部が予測する2020年の展望
私は、この新興国間の格差は今後さらに拡大すると考えています。通貨安は輸入コストを押し上げ、物価高を招く「悪循環」の引き金となります。政治が安定せず、自国を守る力を持たない通貨に対して、市場は決して甘い顔を見せることはないでしょう。
ただし、2019年に躍進したアジア通貨も、2020年にはその勢いが落ち着く可能性があります。各国の中央銀行が景気対策のために利下げを検討しており、米国との金利差が縮まれば、投資としての魅力が相対的に薄れてしまうからです。
投資家にとっては、まさに「冷静な選別眼」が試される局面と言えます。情報の荒波に飲み込まれず、各国の政治動向と経済指標を丁寧に読み解くことこそが、次なるチャンスを掴むための唯一の道となるのではないでしょうか。
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