2019年11月15日現在、北陸3県を代表する上場企業の業績に、米中貿易摩擦という巨大な影が色濃く落とされています。2019年4月1日から2019年9月30日までの半年間を集計したところ、主要32社のうち過半数を超える19社で最終的な利益が前年を下回りました。
SNS上でも「北陸の屋台骨である製造業がここまで影響を受けるとは」といった驚きの声や、「今は耐え時だが、将来への投資が鍵になりそう」という冷静な分析が飛び交っています。世界規模の景気減速を背景に、多くの企業が通期の業績予想を下方修正せざるを得ない厳しい局面を迎えているのです。
中国市場の冷え込みと製造現場の苦悩
「前期までの勢いが嘘のように、中国向けの受注が落ち込んでいる」。オリエンタルチエン工業の西村武社長が漏らしたこの言葉は、今の製造業界の苦境を象徴しているでしょう。産業用チェーンを主力とする同社は、2020年3月期の最終利益予想を前期比60%減という大幅な下方修正に踏み切りました。
工作機械を手掛ける高松機械工業も、中国の投資控えやタイ子会社の不振に直面しています。9月末時点での受注残高は前年同期より3割も減少しました。しかし、同社はこれを好機と捉え、35億円を投じて2021年4月稼働の新工場を建設中です。守りではなく攻めの姿勢で、増産体制の構築を急いでいます。
IoTと省力化が切り拓く「生産性向上」への道
ここで注目すべきは、各社が「省力化投資」を加速させている点です。省力化とは、機械やITを活用して業務を効率化し、少ない人数で成果を上げることです。オリエンタルチエン工業では、製造工程の外注をやめて自社で行う「内製化」を進め、労働生産性を3年前より3割高める計画を推進しています。
高松機械工業の新工場では、あらゆるモノがインターネットで繋がる「IoT(アイオーティー)」が駆使される予定です。私は、こうしたIT技術の導入こそが、人手不足とコスト増に悩む地方企業の救世主になると確信しています。不況期にこそ筋肉質な組織へと生まれ変わる、企業の底力が試されているのです。
高付加価値化と内需へのシフトで活路を見出す
タカギセイコーは、2019年6月に新たな開発拠点を設立し、「より高く売れる製品」を作る高付加価値化に舵を切りました。一方、ニッコーは海外の不安要素をよそに、国内の「合併処理浄化槽」の買い替え需要に注目しています。これはトイレと生活排水を一緒に処理する装置で、環境規制により需要が急増しているのです。
世界情勢に翻弄される今、既存のビジネスモデルに固執せず、フクビ化学工業のように数年後の車載モデルを見据えて新製品を開発し続ける姿勢は極めて重要です。中国景気の底打ちを予見する動きもあり、2020年代に向けた北陸企業の逆襲は、今この苦境の中での仕込みにかかっていると言えるでしょう。
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