2019年12月21日、国立代々木競技場第一体育館で開催された全日本フィギュアスケート選手権大会の女子フリーで、私たちは真の不屈の精神を目撃しました。ショートプログラムで好発進を決めていた樋口新葉選手が、総合2位に輝き、実に見事な「3年ぶりの表彰台」を掴み取ったのです。リンクを降りた彼女の表情には、これまでの苦悩が嘘のような、清々しい達成感が満ち溢れていました。
この2年間、彼女を待ち受けていたのは想像を絶する試練の日々だったのでしょう。かつてのトップスケーターとして表彰台の常連だった彼女にとって、思うような結果が出せない現状は、非常に残酷な現実でした。それでも彼女は逃げることなく、体重管理を含めた過酷な身体作りから徹底的に見直し、ゼロからの再出発を誓ったのです。その並々ならぬ覚悟が、今回のフリー演技に魂となって宿っているように見えました。
SNS上でも「新葉ちゃんのガッツに涙が止まらない」「これぞアスリートという執念を見た」といった感動の声が相次ぎ、多くのファンが彼女の復活を祝福しています。特筆すべきは、今シーズンも左足の負傷という不運に見舞われながら、決してめげなかった精神力です。負傷(ケガ)という身体的なハンデを抱えつつも、それを言い訳にせず調整を続けた彼女のプロ意識には、尊敬の念を禁じ得ません。
ミスをカバーするリカバリー力と今後の飛躍
演技後半、彼女の強さが際立った場面がありました。予定していた3連続ジャンプ(複数の跳躍を連続して行う高難易度技)が単発の3回転フリップになるというミスが発生したのです。しかし、樋口選手はここで崩れませんでした。直後の3回転ルッツを、とっさの判断で3連続ジャンプに変更するという高度な「リカバリー」を見せたのです。これは瞬時の判断力と、体力が削られる後半に高難易度技を跳べる確かな実力があってこそ成せる業でしょう。
私は、この機転こそが彼女が今シーズンに得た最大の武器だと考えます。どんなに準備をしても本番では予期せぬ事態が起こりますが、それを自分の力で修正できる能力は、世界で戦う上で必須のスキルです。苦しい時期を乗り越えたことで、技術だけでなく精神的なタフさが加わった彼女は、今まさにスケーターとして一回り大きな進化を遂げたのではないでしょうか。
「ケガから立て直せたことは、自分にとって大きな勉強になった」と語る彼女の言葉には、確かな自信が漲っています。苦難を糧にして強くなった樋口新葉選手にとって、2019年12月22日の表彰式で見せた笑顔は、輝かしい未来への新たなスタートラインに過ぎません。どん底から這い上がってきたヒロインの快進撃は、きっとこれからも続いていくはずです。
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