【2019年クラシック総決算】関西の音楽シーンが熱い!沼尻・京響の「ジークフリート」から飯守・関フィルのブルックナーまで至高の収穫を振り返る

2019年もいよいよ幕を閉じようとしていますが、今年の関西クラシック界は、まさに「歴史が動いた」と断言できるほど、豊潤で野心的な公演に恵まれた1年でした。特に注目を集めたのは、2019年3月に滋賀県の大津市にある「びわ湖ホール」で上演された、沼尻竜典氏のプロデュースによるワーグナーの楽劇「ジークフリート」ではないでしょうか。首都圏以外では初となる本格的な舞台上演という快挙に、音楽ファンの間では開催前から大きな期待が寄せられていました。

実際に幕が上がると、そこには世界水準の圧倒的な芸術空間が広がっていました。ステファン・グールド氏ら国際的な名声を誇る歌手陣の歌声もさることながら、沼尻氏の緻密なタクトに応えた京都市交響楽団の演奏は、聴衆の魂を揺さぶるほどの底力を見せつけました。SNSでも「地方都市のホールが成し遂げた空前の偉業だ」といった称賛の声が相次ぎ、日本のオペラ制作における新たな金字塔が打ち立てられたと言えるでしょう。

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魂を震わせるブルックナーと古楽の新たな地平

同じく2019年3月には、大阪のザ・シンフォニーホールにて、巨匠・飯守泰次郎氏が関西フィルハーモニー管弦楽団を率いて挑んだブルックナーの「交響曲第9番」が深い感銘を呼びました。長年、同作曲家の全曲演奏に取り組んできた飯守氏の解釈は極めて透徹しており、楽団員たちもその熱量に全霊で応えています。荒れ狂うような気炎を上げた第2楽章、そして崇高な響きがホールを包み込んだ終楽章では、まるで法悦の境地に誘われるかのような音楽体験を味わえました。

さらに、2019年12月には「いずみホール」にて、寺神戸亮氏が手掛けた「古楽最前線!ピグマリオン」が、音楽の未知なる扉を鮮やかに開いてくれました。古楽とは、作曲された当時の楽器や奏法を用いて再現する音楽のことですが、寺神戸氏はその知性を輝かせ、「良き趣味」という当時の美学を現代に見事に蘇らせました。オペラとバレエが融合した歴史を辿りつつ、コンテンポラリーダンスとの共演で見せた革新的な演出は、まさに芸術の進化を感じさせるものでした。

私自身、これらの公演を通じて感じたのは、関西という土壌が持つ「文化的な自立心」と「本物を見抜く力」の強さです。東京の二番煎じではない、地域に根ざしながら世界を見据えた企画力が、今まさに開花しています。SNSでの盛り上がりを見ても、クラシックは決して敷居の高い過去の遺産ではなく、今を生きる私たちの心を揺さぶるエンターテインメントであると確信しました。来年以降も、この熱狂が続いていくことを切に願っています。

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