医療の未来を大きく変えるかもしれない画期的なニュースが飛び込んできました。2019年12月23日、文部科学省の専門委員会は、明治大学の研究チームが提出した驚きの研究計画を大筋で了承しました。それは、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を駆使して、ブタの体内で人間の臓器を作り出すという挑戦です。iPS細胞とは、体の様々な細胞に成長できる能力を持つ「万能細胞」のことで、再生医療の切り札として世界中から熱い視線が注がれています。
今回の計画を主導するのは、明治大学の長嶋比呂志教授らのグループです。日本国内において、動物の体内で人の臓器を作る計画が承認されるのは、2019年7月の東京大学に続き2例目となります。SNS上では「ついにここまで来たか」「SFの世界が現実になりつつある」といった驚きの声とともに、ドナー不足に悩む移植医療の現状を打破してほしいという切実な期待が数多く寄せられています。
ブタの体内で「人間の膵臓」が育つ仕組みとは
具体的な研究手法は非常に緻密です。まず、遺伝子操作によってあらかじめ「膵臓(すいぞう)」が作られないように設計されたブタの受精卵を用意します。そこに人間のiPS細胞を注入し、代理母となるブタの子宮へ戻すというプロセスを辿ります。膵臓は血糖値を調節するインスリンを分泌する重要な臓器であり、これが動物の体内で正常に形成されるかを確認することが、今回の実験における最大の主眼となっているのです。
子宮に戻された胎児は、1カ月以内に一度取り出されます。そして、膵臓の基礎となる組織の中で人間の細胞がどのように成長しているか、あるいは目的外の組織に混じっていないかを厳密に調査します。こうした慎重なステップを踏むことで、安全性を担保しながら研究を進める方針です。将来的には、人間のiPS細胞に由来する膵臓を持ったブタを誕生させることが、大きな目標として掲げられています。
先行する東京大学の研究ではマウスやラットが対象でしたが、明治大学はより人間に近い体格を持つブタの飼育に精通している点が強みです。人間に近いサイズの臓器を得るためには、ブタを用いた研究は避けて通れません。私自身の考えとしては、生命倫理の議論を尽くすことは大前提としつつも、苦しむ患者さんの救済に繋がるこの一歩を、編集部としても強く支持したいと感じています。
ただし、現時点では胎児を出産直前まで育てることや、完成した臓器をそのまま人間に移植することは認められていません。あくまでも基礎研究としてのスタートですが、東大と明大が情報を共有しながら知見を深めることで、日本の再生医療は加速するでしょう。2019年12月24日、クリスマスイブに届いたこの一報は、病と闘う人々にとって最高の贈り物になる可能性を秘めているのではないでしょうか。
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