総合カーボンメーカーとして世界的に存在感を示す東海カーボンが、2020年1月1日付で実施する大幅な組織改編と人事異動を発表いたしました。今回の人事における最大の注目点は、経営の意思決定スピードを向上させるための管理部門の再編です。これまでの「経営企画室」を発展的に解消し、「経営企画部」「戦略投資部」「販売企画部」の3部門を新設することで、より専門性の高い戦略遂行を目指す狙いが見て取れます。
この新体制を牽引するのは、取締役兼副社長執行役員の室伏信幸氏です。室伏氏はこれまでの経営企画全般の管掌に加え、新たに設立される3つの重要部門すべてを統括する大役を担います。変化の激しい国際情勢の中で、企業の舵取りをより強固なものにするという同社の強い決意が、この人事から伝わってきます。SNS上でも「投資と販売の切り分けは、攻めの姿勢の表れではないか」といった期待の声が寄せられているようです。
また、実務レベルでの強力なバックアップ体制も構築されました。これまでファインカーボン事業部長として現場を支えてきた辻雅史氏が、経営企画部長として室伏副社長を補佐するポジションに就きます。ファインカーボンとは、高純度で微細な構造を持つ炭素材料を指し、半導体製造装置や太陽電池など、先端技術分野に欠かせない素材のことです。現場の知見を経営中枢に注入することで、理論と実践が融合した成長戦略が期待できるでしょう。
事業部間のシナジーとグローバル拠点の最適化
事業部門のリーダーシップにも大きな刷新が見られます。カーボンブラック事業部長には、タイの現地法人でマネージングディレクターを務めていた増田浩文氏が就任します。カーボンブラックはタイヤの補強材などに使われる黒色の炭素粉末で、自動車産業の屋台骨を支える製品です。海外拠点での豊富な経験を持つ増田氏が指揮を執ることで、グローバル展開のさらなる加速が予想されます。韓国拠点からの帰還となる初鹿野緑氏の副事業部長就任も、その流れを補完するものでしょう。
さらに、リチウムイオン電池の材料として重要性が高まっている「負極材」の部門でも動きがありました。渋田隆一氏が負極材事業部の販売責任者を兼務することとなり、電気自動車(EV)シフトという世界的な潮流に対する販売網の強化が図られています。私個人の見解としては、従来の電極やカーボンブラックといった安定基盤を守りつつ、次世代エネルギー分野へ優秀な人材を配置する今回の人事は、非常にバランスの取れた「攻防一体」の陣容であると感じます。
製造現場においても、片岡和人氏が防府工場長兼研究所長に就任するなど、技術伝承とイノベーションの融合が進められています。生産技術センターの設立を含め、2020年1月1日からの東海カーボンは、まさに「素材の可能性を追求する技術集団」としての色を強めていくはずです。老舗企業でありながら、組織の形を大胆に変容させ続ける柔軟性こそが、同社が長くトップランナーであり続ける理由なのかもしれません。
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