2019年12月29日、日本の女子サッカー界に新たな歴史が刻まれようとしています。さいたま市のNACK5スタジアム大宮で開催される「皇后杯 JFA 第41回全日本女子サッカー選手権大会」の決勝戦。舞台に立つのは、3連覇を狙う絶対女王・日テレ・ベレーザと、悲願の初優勝に燃える浦和レッズレディースです。午後2時のキックオフを前に、ファンの間では「どちらが勝ってもおかしくない好カード」とSNSでも期待の声が溢れかえっています。
今季の浦和は、まさに「脱皮」という言葉が相応しい躍進を遂げました。かつては守備に重きを置くスタイルが目立ちましたが、2019年から指揮を執る森栄次監督のもと、果敢にゴールを狙う攻撃的なチームへと変貌したのです。昨シーズンのリーグ戦では22得点だったのに対し、今季は37得点と大幅に数字を伸ばして2位に食い込みました。サイドバックながらFWのような攻撃センスを見せる清家貴子選手も、積み上げてきた攻めの姿勢を出し切ると意気込んでいます。
攻守に隙なし!「森流」が浸透した浦和の進化
浦和の強みは、中盤での小気味よい連係にあります。塩越柚己選手や柴田華絵選手らが次々と相手ゴールへ仕掛ける様子は、観る者をワクワクさせるエネルギーに満ちているでしょう。さらに前線には日本代表のエース・菅澤優衣香選手が「ターゲットマン(前線で体を張り、パスの起点となる選手)」として君臨しています。準決勝で敗れたINAC神戸の監督も、彼女の収める力とGK池田咲紀子選手のキック精度の高さに、なすすべがなかったと脱帽していました。
興味深いのは、現在の浦和が展開する「ポゼッション(ボールを保持し支配する戦術)」のルーツが、実は対戦相手の日テレにあるという点です。森監督はかつて日テレを3連覇に導いた名将であり、いわば「本家」のスタイルを浦和に注入しました。選手の立ち位置が次々と入れ替わる「流動的」なシステムを武器に、教え子たちが師匠の古巣に挑むという構図は、サッカーファンにとってたまらないドラマチックな展開といえるでしょう。
なでしこ軍団・日テレが見せる「全員攻撃」の脅威
対する日テレ・ベレーザは、もはや「なでしこジャパンそのもの」と言っても過言ではない豪華布陣です。長谷川唯選手や田中美南選手など、代表メンバーがずらりと並ぶ顔ぶれは圧倒的。彼女たちの特徴は、ポジションの概念を超越した「ユニバーサルな能力」にあります。ディフェンダーが攻撃のスイッチを入れ、フォワードが守備のタスクをこなす。誰もがボールをキープでき、どこからでもゴールを奪えるその破壊力は、リーグ最多の59得点という驚異的な数字が証明しています。
特に注目すべきは、準決勝で決勝ゴールを決めた小林里歌子選手です。相手の最終ラインを一瞬で置き去りにするスピードは、浦和の守備陣にとって最大の脅威となるはずです。彼女自身も「フリーではない状況でいかに動くか」を常に意識しており、その高いプロ意識が黄金時代の継続を支えています。今季リーグ戦5連覇を達成した彼女たちが皇后杯も制して「二冠」を達成すれば、その支配力は不動のものとなるでしょう。
編集部としては、浦和の「下克上」に期待が高まります。実は2019年のリーグ戦で、浦和は日テレから3-2で勝利を奪った実績があるのです。女王相手に点の取り合いを演じて競り勝ったあの再現ができれば、浦和の初優勝は現実のものとなるはずです。攻撃か、攻撃か。令和元年の締めくくりに相応しい、魂が揺さぶられるような真っ向勝負を期待しましょう。
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