富山県高岡市が誇る鋳物の名門「能作」が、2019年12月26日に驚きの海外戦略を発表しました。なんと2020年2月を目標に、台湾の地でプラチナや金といった貴金属を専門に扱う合弁会社「能作貴金属」を設立するというのです。伝統的な職人技と最高級の素材が融合し、これまでにない美術品やインテリアが誕生する瞬間が近づいています。
パートナーとしてタッグを組むのは、キッチン金具などの製造で世界的なシェアを誇る台湾の「路達工業(LOTAグループ)」です。新会社の資本金は5000万台湾ドル、日本円にして約1億8000万円にのぼり、能作が過半数の出資を行って主導権を握ります。SNS上では「高岡の技術が世界基準のラグジュアリーに進化するのか」と、早くも期待の声が広がっています。
3Dプリンターと職人技の融合が切り開く新境地
今回のプロジェクトで特筆すべき点は、LOTAグループが保有する最新鋭の「金属用3Dプリンター」を活用することでしょう。これは金属粉末をレーザーで焼き固めて立体を作る画期的な装置で、従来の鋳造では不可能だった複雑な造形を可能にします。このハイテク設備と能作が培ってきた手仕事の仕上げが組み合わさることで、唯一無二の価値が生まれます。
製造拠点については台湾だけでなく、富山県高岡市の自社工場も重要な役割を分担する体制が整えられています。400年以上の歴史を持つ「鋳物(いもの)」、つまり溶かした金属を型に流し込む伝統技法が、最新テクノロジーという翼を得て羽ばたこうとしています。伝統を重んじながらも、変化を恐れず挑戦し続ける能作の姿勢には、編集部としても深い敬意を禁じ得ません。
現在の能作の売上構成を見ると、2018年9月期の約17億円のうち、海外での実績は4000万円ほどに留まっているのが実情です。しかし、2020年中に投入される新ブランドが、巨大な中国・台湾市場を席巻すれば、この数字は劇的に跳ね上がるでしょう。単なる工芸品の枠を超え、世界の富裕層を魅了する「アート」としての地位を確立できるかが勝負の分かれ目です。
私は、この挑戦が日本の地方産業における「希望の光」になると確信しています。人口減少が進む中で、伝統を守るためには攻めの姿勢でグローバルな販路を切り拓くことが不可欠だからです。富山の小さな町から生まれた輝きが、アジアを拠点に世界中を照らす日はすぐそこまで来ています。2020年の新ブランドデビューから、一時も目が離せそうにありません。
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