ビジネスの最前線で戦うビジネスパーソンにとって、芸術鑑賞が単なる趣味の枠を超え、仕事のパフォーマンスを最大化させる鍵になるかもしれません。2019年12月21日現在、野村総合研究所と横浜美術館がタッグを組み、アートが創造性やストレス軽減に与える影響を科学的に解き明かす画期的な実証実験を進めています。
この試みは、仮想現実である「VR(バーチャル・リアリティ)」技術を駆使して行われているのが大きな特徴です。専用のゴーグルを装着し、まるで美術館の展示室に立っているかのような臨場感あふれる映像を2分間ほど視聴することで、鑑賞者の心理状態がどのように変化するのかを緻密に分析しています。
実験の現場では、視聴前後の心拍数や血流量といった生理データのほか、指先で自律神経の働きを測定するなど、客観的な数値による検証が徹底されているのです。ここで注目したいのが、私たちの意思とは無関係に体の機能を調節する「自律神経」の変化を追うことで、アートがもたらす深いリラックス効果を可視化しようとしている点でしょう。
SNS上では、この取り組みに対して「仕事の合間に美術館に行けるのは理想的」「最新技術とアートの融合が楽しみ」といった期待の声が数多く上がっています。忙しい日常の中で、VRを通じて瞬時に芸術の世界へ没入できる体験は、現代のライフスタイルにマッチした新しい癒やしの形として受け入れられているようです。
今回のプロジェクトには20歳代から40歳代までの社員約20名が参加しており、京都大学で心理学を専門とする楠見孝教授が監修を務めています。学術的な知見に基づいたこの検証は、単なる企業のレクリエーションではなく、人間の知覚や感性を科学的にハックしようとする挑戦であると言っても過言ではありません。
アートが育む次世代のビジネスリーダーと生産性の向上
野村総研がこれほどまでに芸術に注目する背景には、激変する市場環境の中で「論理」だけでなく「直感」や「美意識」を磨くことの重要性が高まっているという危機感があります。IT基盤事業推進部の浜辺徹氏は、感性を磨くことが創造性豊かな人材育成に直結すると確信しているようです。
また、仕事による緊張状態を解きほぐす「ストレスケア」としての側面も見逃せません。ストレスが適切に管理されれば、自ずと集中力が高まり、組織全体の生産性向上につながるでしょう。実験の結果は2020年の年明けにもまとめられる予定で、良好なデータが得られれば福利厚生としての実用化も検討されています。
一方で、作品を提供する横浜美術館側にも大きな期待が寄せられています。ビジネスの世界にアートの需要を掘り起こすことで、デジタルで興味を持った人々が実際に足を運ぶ「きっかけ作り」を狙っているのです。リアルとデジタルの相乗効果は、文化施設が生き残るための新たな戦略となるに違いありません。
私自身の考えとしては、効率が最優先されがちなオフィス環境に、あえて非効率の象徴とも言える「美」を導入するこの試みを強く支持します。データや理論だけでは辿り着けないイノベーションのヒントは、VRが映し出す筆致の一筋や色彩の重なりの中にこそ、隠されているのではないでしょうか。
将来的には、この鑑賞システムそのものを外販事業化する展望もあるとのことです。VRアート鑑賞が日常のオフィス風景になれば、私たちの働き方はより人間らしく、そして創造的なものへと進化していくでしょう。最新テクノロジーが切り拓く、芸術とビジネスの融合から目が離せません。
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