人類が古くから抱き続けてきた「鳥のように自由に空を飛びたい」という切実な願いが、最新のテクノロジーによってついに現実のものとなりつつあります。スイスのチューリヒに拠点を置くスタートアップ企業「ソムニアックス」が開発したVRデバイス「バードリー」が、今、世界中で大きな注目を集めているのです。
このバードリーは、単に視覚的な映像を楽しむだけの装置ではありません。全長2.1メートル、幅1.4メートルの特殊な筐体に腹ばいになり、全身を使って操作する全く新しい没入型体験マシンです。翼のように腕を広げて羽ばたけば加速し、体を傾ければ旋回も可能で、前方からの風がさらに臨場感を高めてくれます。
SNS上では、2019年10月に幕張メッセで開催された「CEATEC 2019」での出展を受け、「本当に空を飛んでいる感覚になれる」「高所恐怖症には刺激が強すぎるけれど、一度は体験すべき」といった驚きの声が続出しています。従来のVRの枠を超えた、全身で風を感じる体験がユーザーの心を掴んでいるようです。
特筆すべきは、その圧倒的な映像のリアリティです。3Dスキャン(実物を立体データとして読み取る技術)を駆使し、ニューヨークやシカゴの街並み、さらには大自然のアルプスを忠実に再現しています。この「100%スイスメード」のこだわりが、脳を錯覚させるほどの没入感を生み出しているのでしょう。
エンタメから教育へ広がるVRの無限の可能性
ソムニアックスのCEOであるライナー氏が目指すのは、単なるアミューズメントの提供に留まりません。例えば、サンゴ礁が白化していく様子を海底で観察できるコンテンツは、地球温暖化の深刻さを肌で感じるための「生きた教材」として、大学や研究機関での活用が期待されています。
VRとは「バーチャル・リアリティ」の略で、日本語では「仮想現実」と訳されます。現実ではない空間を、五感を刺激することで「あたかもそこにある」かのように感じさせる技術です。バードリーはこの技術を駆使し、恐竜が支配したジュラ紀や深海の世界までをも探索可能にしました。
2019年11月19日現在、バードリーは世界各地の博物館や商業施設で50台以上が稼働しており、価格は1台あたり約700万円から1000万円ほどです。決して安価ではありませんが、都市紹介や環境保護の啓発など、コンテンツの独自性を追求することでその価値はさらに高まるはずです。
今後の課題は、次世代通信規格「5G」の普及に伴う競争激化でしょう。情報の伝達速度が飛躍的に上がることで、より高精細なVR体験が身近になります。私は、こうした技術が普及することで、物理的な移動が困難な人々にも「世界を見る自由」が提供される未来を強く支持しています。
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