日本の技術力が、世界の大きな課題である「認知症」の克服に向けた新たな一歩を踏み出しました。富士フイルムは、アルツハイマー型認知症の治療を目指した新薬候補物質の有効性を検証するため、欧州での臨床試験、いわゆる「治験」を開始したことを2019年12月27日に明らかにしています。
今回の治験は、ドイツ、イギリス、オランダといった欧州の主要な7カ国を舞台に行われます。対象となるのは約200名の患者さんで、新薬が脳内に与える影響を詳細に調査する予定です。この知らせを受け、SNSでは「写真メーカーのイメージが強い富士フイルムが医療の最前線にいるのは驚きだ」「認知症の根本治療への足がかりになってほしい」と、期待と驚きが入り混じった声が多く寄せられました。
そもそも「治験」とは、開発中の新しい薬が実際に人に対して安全で、かつ効果があるのかを厳密に確認する試験のことです。このハードルは非常に高く、いくつもの段階をクリアして初めて、私たちはその薬を手にすることができます。富士フイルムが挑む今回の試験は、まさにその重要な関門の一つと言えるでしょう。
注目すべきは、認知症の原因の一つと考えられている「脳内物質」へのアプローチです。脳内に蓄積して神経細胞を傷つける特定のタンパク質を減少させ、病気の進行を食い止めるという狙いがあります。多くの認知症治療薬が症状を和らげる「対症療法」に留まる中で、病気の根源を叩くこの試みは非常に野心的です。
私自身の見解を述べさせていただきますと、富士フイルムのような異業種からの参入が加速することは、創薬の世界に新しい視点をもたらすはずです。精密化学で培った独自の技術が、難病に苦しむ患者さんの希望になることは間違いありません。認知症患者の増加が社会問題となる中、この試験が成功裏に終わることを願ってやみません。
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