2019年09月13日、日本の製造業やインフラ保守の現場に衝撃を与えるニュースが飛び込んできました。精密化学の巨頭である富士フイルムが、人工知能(AI)を活用して部品やパイプの内部に潜む傷を自動で検出する画期的な技術を開発したのです。この技術は、物体を壊さずに内部を調べる「非破壊検査」という極めて重要な工程に劇的な変化をもたらす可能性を秘めています。
非破壊検査とは、放射線や超音波を用いることで、製品を解体したり傷つけたりすることなく内部の亀裂や腐食をチェックする手法を指します。いわば、工業製品のための「健康診断」や「レントゲン検査」のようなものと言えるでしょう。富士フイルムは、長年培ってきた医療用画像診断のノウハウをこの分野に転用し、これまでは熟練の検査員が目視で行っていた過酷な判定作業をデジタル化しようと試みています。
SNS上では今回の発表に対し、「職人技がAIで効率化されるのは素晴らしい」「人手不足の解消につながる」といった期待の声が多く上がっています。一方で、「最終的な判断は人間が行う」というプロセスが維持されている点についても、安全性を重視する姿勢として高く評価されているようです。AIが人間のパートナーとして機能する、まさに次世代の検査スタイルの幕開けを感じさせるトピックと言えるのではないでしょうか。
作業時間を最大3割短縮!AIが支える現場の効率化と継承
新たに開発された技術の最大の強みは、機械学習によって鍛え上げられた圧倒的な検出能力にあります。膨大な数の「傷がある画像」をAIに読み込ませることで、従来は人間が1枚ずつ確認していた画像に対し、AIが自動で異常箇所に印をつけてくれるようになりました。同社の産業機材事業部でマネージャーを務める青山英司氏は、「約9割の精度で傷を検出できる」と、その確かな手応えを語っています。
このシステムの導入により、検査にかかる作業時間は従来の手法と比較して2割から3割も短縮される見込みです。現在、航空機のエンジン部品や複雑なプラントの配管など、一歩間違えれば重大事故に直結する現場でこの検査は欠かせません。しかし、検査員の高齢化と後継者不足は深刻な課題となっており、AIが検査をサポートすることで、経験の浅い若い技術者でも高い精度で業務に取り組める環境が整うでしょう。
富士フイルムは、2020年度中にこのAI技術を組み込んだ画像診断ソフトを市場に投入する方針を固めています。世界的に見ても非破壊検査の需要は右肩上がりで、2025年度には世界市場が4兆円を超える規模に達すると予測されています。私は、この技術が単なる効率化ツールに留まらず、日本の「ものづくり」の品質を世界最高水準で維持するための、強力な防波堤になると確信しています。
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