四国と関西の架け橋となる新しい「広域地銀」が、ついに力強い一歩を踏み出しました。トモニホールディングス傘下の旧徳島銀行と旧大正銀行が合併し、誕生した「徳島大正銀行」が2020年01月06日に営業を開始したのです。徳島市にある本店で開催された記念式典では、吉岡宏美頭取が「One Team」を掲げ、異なる強みを持つ行員が融和して合併を成功させる決意を語りました。この門出に対し、SNSでは「新しい地方銀行のモデルケースになってほしい」と期待の声が寄せられています。
新銀行が特に照準を合わせているのが、活気あふれる大阪を中心とした関西圏での融資拡大です。地元の徳島県では人口減少や少子高齢化が深刻な課題となる一方、関西は2025年の大阪・関西万博やインバウンド需要を控え、極めて魅力的な市場に映ります。地方銀行、いわゆる地銀を取り巻く環境は、日銀のマイナス金利政策による収益悪化もあって非常に厳しい状況です。だからこそ、成長が期待できる大都市圏へ攻勢をかける戦略は、生き残りをかけた極めて理にかなった選択であると私は評価します。
トモニホールディングスの第4次経営計画によれば、2023年03月期の大阪地区における貸出金残高目標を8000億円に設定しています。これは全体の47%を占める規模であり、2019年09月末の7297億円から9.6%もの増加を目指す野心的な計画です。この目標を達成する武器こそが、両行が培ってきた専門ノウハウの融合にほかなりません。旧徳島銀の中小企業融資の実績と、旧大正銀の不動産融資の知見が合わさることで、他行には真似できない独自のサービスが生まれるでしょう。
ここで注目すべき専門用語が「広域地銀」です。これは単一の都道府県にとどまらず、複数の地域にまたがって営業を展開する地方銀行を指します。徳島大正銀行の場合、徳島の中小企業が関西へ進出する際に、関西のリアルな不動産情報や資金を一体となって提供できる体制が整いました。さらに、これまでは規模の小ささから資金調達に制約があった旧大正銀側にとっても、合併によって潤沢な資産と資金力を手に入れたことは、大規模な不動産融資を実行する上で大きなアドバンテージとなるはずです。
しかし、この挑戦が一筋縄ではいかないのも事実です。関西、特に大阪はメガバンクや信用金庫がひしめく大激戦区であり、京都銀行や紀陽銀行といった周辺の有力地銀もすでに鋭い牙を剥いています。徳島大正銀行の関西の店舗数は計37店舗にとどまり、吉岡頭取も「シェアは大きくない」と認めるように、知名度の向上は急務です。独自の存在感を示すためには、同じグループである香川銀行との緊密な情報連携も含め、ネットワークをどれだけ泥臭く活用できるかが勝負の分かれ目になるでしょう。
SNSでは「四国の企業が関西に出やすくなるのは素晴らしい」という応援がある一方、「大手の壁は厚いのでは」という冷静な見方もあります。私は、この合併が単なる規模の拡大ではなく、地方の活力を大都市の需要と結びつける画期的な試みになると信じています。総店舗数108店舗のネットワークを駆使し、厳しい時代に立ち向かう「徳島大正銀行」の今後の躍進から目が離せません。
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