オーストラリアが今、かつてない規模の森林火災に見舞われています。2019年7月以降、驚くべきことに東京都の20倍以上という広大な面積が炎に包まれました。この数字は世界中で話題となったブラジルのアマゾン火災をも上回る、同国史上最悪の深刻な被害となっています。
SNS上でも「地球規模の災害だ」「一刻も早い鎮火を祈る」といった、世界中からの悲痛な叫びや心配の声が絶えません。現地の惨状を伝える画像や動画が拡散されるたびに、被害の凄まじさがリアルに浮き彫りとなっています。事態を重く見たモリソン首相は、2020年1月中旬に予定していた日本とインドへの公式訪問を急遽延期しました。
豪州の南東部では、2019年12月30日から急拡大した火災により、すでに少なくとも10名もの尊い命が失われています。2020年1月3日からは海軍の艦船が救助活動を本格化させており、翌日の1月4日には、モリソン首相が軍の予備隊3000人を招集すると発表しました。予備隊とは、普段は別の職業を持ちながら緊急時に動員される不正規の軍事力のことです。
被害が最も大きい東部のニューサウスウェールズ州では、同州単体だけでも約3万6000平方キロメートルが焼失したと報告されています。他州も含めると、豪東部だけで5万2千平方キロメートルが燃えたとロイター通信は報じました。まさに自然の猛威が容赦なく美しい大地を焼き尽くしているのです。
記録的な猛暑と干ばつがもたらした悲劇
例年であれば、オーストラリアの森林火災は南半球が夏を迎える12月頃に発生します。しかし今回は、春にあたる2019年9月から火の手が上がり、11月には手が付けられないほど深刻化してしまいました。この異常事態を引き起こした背景には、現地を襲った記録的な高温と「干ばつ」があります。
干ばつとは、長期間にわたって雨が降らずに土地がひどく乾燥してしまう気象災害のことです。豪気象庁の発表によると、2019年9月から11月の全土の平均降水量はわずか27ミリと、観測史上最低を記録しました。さらに平均気温も史上5番目の高さを観測し、大地はカラカラに干からびていたのです。
12月に入ると事態はさらに悪化し、猛烈な熱波が襲いかかります。2019年12月18日には、オーストラリア全土の最高気温の平均が41.9度という、信じられないような観測史上最高気温を叩き出しました。この灼熱の太陽と乾燥した大気が、大規模な火災を継続させる最悪の燃料となってしまったのでしょう。
岐路に立たされるモリソン政権のゆくえ
被害が深刻化する一方で、モリソン首相の対応の遅れに対する国民の怒りは頂点に達しています。首相が2020年1月初旬に被災地を視察した際、現地の女性から「もっと支援が必要だ」といらだちをぶつけられる一幕もありました。実は首相は2019年12月中旬、火災の最中に家族とハワイで休暇を過ごしていたのです。
この休暇を当初公表していなかったことが火に油を注ぎ、国内外から猛批判を浴びて帰国を余儀なくされました。さらに、火災の遠因とされる地球温暖化などの気候変動対策への消極的な姿勢も反発を招いています。首相は雇用や経済を守るためとして、多くの二酸化炭素を排出する石炭産業を擁護し続けているのです。
現在の世論調査では与党の支持率が野党を上回っていますが、今回の危機管理の失敗は政権の大きな痛手となるでしょう。一国のリーダーたるもの、危機に瀕した国民に寄り添う姿勢を何よりも最優先に示すべきだったのではないでしょうか。今後の迅速な救済措置と、環境政策への真摯な向き合い方が厳しく問われています。
コメント