テック経営で挑む日本企業の未来!CESが映すイノベーションの最前線と株式市場の期待

中東情勢の緊迫化に伴い、株式相場では予測のつかない激しい値動きが続いています。しかし、このような不透明な時代だからこそ、革新的な技術で未来を切り拓く企業には、世界中から熱い視線と多額の資金が注がれるはずです。

2020年1月7日、アメリカのラスベガスで世界最大級のテクノロジー見本市「CES」が幕を開けました。かつては単なる家電の展示会でしたが、今やビッグデータや人工知能(AI)、あらゆるモノがネットにつながるIoTの最新技術が競い合う、最先端の場へと変貌を遂げています。

SNS上でも「もはや家電ではなく、未来の生き方を示す場だ」「企業の経営戦略発表会のようで胸が熱くなる」といった声が上がっており、世界中のビジネスパーソンや投資家たちから大きな注目を集めているようです。

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シリコンバレー研修で見えたテック経営の光と影

医療検査機器の大手であるシスメックスの家次恒社長は、まさにこの変革の波を敏感に捉えている経営者の一人と言えるでしょう。2019年12月、同社は次世代を担うリーダーたちを引き連れて、アメリカのシリコンバレーへ1週間に及ぶ研修に赴きました。

グーグルをはじめとする最先端企業を訪問し、イノベーションを生み出す風土を肌で吸収してきた同社は、世界のトレンドを現地で捉えることの重要性を深く実感しています。さらに同社は、赤血球や白血球の数や形を調べる血液検査機器の分野で、世界シェア50%以上という驚異的な強みを誇っているのです。

世界中の病院に設置された機器をネットワークで遠隔管理しているため、理論上は世界規模の血液ビッグデータを収集・分析し、最先端の医療に役立てることが可能です。ビッグデータとは、単に量が多いだけでなく、多種多様でリアルタイムに更新される巨大な情報群のことで、新たな価値を生む宝の山とされています。

しかし、この取り組みに対する株式市場の評価は、驚くほど冷静なものでした。長年同社の株を保有する投資家たちからは「それで、その宝の山を具体的にどうビジネスに活かすのか」という、厳しい疑問の声が上がっています。

企業側としては、患者の機微なプライバシー情報を軽率に扱うわけにはいきません。現在、アメリカの巨大IT企業が個人情報の独占で世界的な批判を浴びているように、技術の進化と倫理のバランスをどう取るかは、現代のテック経営における極めて大きな課題なのです。

電子立国の看板を失った日本の危機感

スイスの有力ビジネススクール「IMD」が発表した2019年版の「世界デジタル競争力ランキング」において、日本は63の国と地域の中で23位という厳しい現実に直面しています。かつて1990年頃まで世界を席巻していた「電子立国」の輝きは、今や完全に色あせてしまいました。

詳細な評価項目を見ると、投資家を失望させるデータが並んでいます。特に「企業の機敏な対応」や「ビッグデータの利用と分析」、「企業幹部の国際経験」といったビジネスに直結する項目が、軒並み最下位層に沈んでいるのです。

私は、この停滞の根本原因は日本企業のトップの姿勢にあると考えます。リスクを恐れて変革への決断を先送りし、その責任を現場の役員や部長に押し付けているようでは、激しい世界競争を勝ち抜けるはずがありません。

経営トップが「たとえ失敗しても、未来への投資は絶対に止めない」と市場や社員に対して力強く宣言してこそ、企業全体が攻めの姿勢に転じることができるのです。今の日本企業に必要なのは、単なる技術の知識ではなく、社会が本当に求めている需要を見極める力ではないでしょうか。

日本企業の伝統が生み出す逆転のシナリオ

その素晴らしい模範を示してくれたのが、スズキの取り組みです。同社は高齢者向けの電動カート「KUPO」のコンセプトカーを発表しましたが、その開発プロセスには目を見張るものがあります。

当初は「乗る」ための車椅子として開発が進められていましたが、日米での徹底的な対面調査を経て、高齢者の「年を重ねても自分の足で歩きたい」という切実な本音を掴み取りました。その結果、手押し車としても使える「歩く」ためのモビリティへと、大胆な方針転換を行ったのです。

これこそが、自社の利益だけでなく、顧客や社会全体の幸せを願う、日本企業特有の「三方良し」の精神であり、AIには決して真似のできない人間ならではの洞察力だと言えます。こうした現場の価値ある分析を、経営トップがしっかりと認めて決断を下すことこそが、テック経営の成功の鍵となります。

アメリカのナスダック株価指数がこの30年で約20倍に成長したのに比べ、日経平均株価はいまだに1989年末の最高値の6割程度で足踏みを続けています。歴史的なバブル崩壊を言い訳にしている時間はもうありません。

中国や台湾、韓国といったアジアのライバルたちも、死に物狂いでこのテック経営の大競争に参戦しています。ここで日本企業が後れを取れば、二度と挽回のチャンスは巡ってこないという強い危機感を持ち、変革を急ぐべきでしょう。

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