中東の緊迫した情勢を受け、イラクに駐留する世界各国の部隊が縮小や退避の動きを急速に強めています。アメリカとイランの間で報復攻撃の応酬が続けば、この撤退ドミノがさらに広がることは避けられない情勢でしょう。この一触即発の危機に対し、インターネット上でも「再び大きな戦争が始まってしまうのか」といった不安や、各国の迅速な退避判断を支持する声が相次いでいます。
そもそもイラクには、アメリカが主導する国際的な枠組みである「有志連合」の部隊が駐留してきました。これは、過激派組織などのテロリストを掃討することを目的に、2014年8月に結成されたものです。この作戦は「生来の決意作戦(OIR)」と呼ばれており、世界23カ国から約9000人もの兵員が参加しています。これは、特定の国だけでなく国際社会が連携して地域の治安を維持するための重要な任務なのです。
しかし、状況は一変しました。イタリアメディアの報道によると、イタリア軍はバグダッドのアメリカ大使館周辺に展開していた数十人の部隊をすでに退避させています。これに呼応するかのように、イギリスも数十人規模の部隊をバグダッドから撤収させました。さらに、ドイツ政府も2020年1月7日までに、イラク駐留部隊の一部を隣国のヨルダンやクウェートへ移送する方針を固めています。
撤退の動きは欧州だけに留まりません。カナダ軍のジョナサン・バンス参謀総長も2020年1月7日、部隊の一部をクウェートへ移動させることを明らかにしました。同日にはルーマニアやクロアチアも相次いでイラク国外への退避を発表しており、各国の足並みが揃っています。緊迫する現地を見捨てかねないこの決断からは、自国兵の安全を最優先にせざるを得ない切迫した事情が痛いほど伝わってきます。
かつてアメリカが泥沼の戦いに巻き込まれた「ベトナムの悪夢」が、今まさにイラクの地でよみがえろうとしています。世界平和を掲げた有志連合の足並みが乱れることは、テロ組織の再台頭を許す引き金になりかねません。各国が手を引く中で、アメリカが孤立を深めていくシナリオは非常に危ういと感じます。今こそ冷静な対話による緊張緩和へと舵を切るべきではないでしょうか。
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