2020年07月に開幕を控える東京オリンピック・パラリンピックは、スポーツに馴染みがない人々をも熱狂させる最高の機会になりそうです。現在、世界最高峰の舞台で戦うアスリートの凄凄まじい能力や、勝負を分ける一瞬を分かりやすく伝えるため、最先端技術の導入が急速に進んでいます。テレビやスマートフォンを通じた観戦の選択肢が広がり、これまでとは一線を画す新しい楽しみ方が生まれつつあるのです。
昨年の2019年09月から2019年10月にかけて日本で開催されたバレーボールのワールドカップでは、驚きの光景が見られました。男子日本代表の新星である西田有志選手が強烈な一撃を決めた直後、画面に「時速111キロ」という数値が映し出されたのです。これにはSNS上でも「スパイクの速さが一目で分かって興奮する」「異次元の強さが数字で実感できる」と、驚きと感動の声が続出しました。
この劇的な演出を可能にしたのが、パナソニックが開発した「3Dトラッキング技術」です。これはコート全体を捉えるカメラの映像を人工知能(AI)が瞬時に解析し、空間内におけるボールや選手の立体的な位置を計算する仕組みを指します。ボールの軌道や選手の背番号を正確に捉え、サーブの速度や跳躍の最高到達点を即座に数値化できる点が、従来の技術と比べて革新的な要素と言えます。
このシステムが計測したデータは、生中継を行うフジテレビへ瞬時に送られます。実際のプレーが起きてから、わずか0.8秒という驚異的な速さで速度や軌道のコンピューターグラフィックス(CG)を画面に表示できるのです。このスピーディーな情報提供こそが、試合の緊迫感を損なわずに視聴者の興奮を倍増させる鍵であり、現代のスポーツ中継における最大の武器になると私は確信しています。
さらに、同社は選手の「内面」まで可視化する驚くべき挑戦を続けています。それが、カメラで顔を撮影するだけで肌のわずかな色彩変化を読み取り、心臓の鼓動の速さを測定する「非接触バイタルセンシング」という独自の技術です。心臓が血液を送り出す際の血流の変化を捉えることで、例えば射撃の選手が集中を高めた瞬間に、心拍数が落ち着いていく様子が手に取るように伝わります。
開発担当者が新しい観戦体験の提供に自信を見せるように、この技術は体にセンサーを装着する必要がないため、選手のパフォーマンスを一切妨げません。動きが少なく、ルールを知らないと退屈に見えがちな競技の魅力を引き出す特効薬になるでしょう。ただ映像を眺めるだけでなく、選手の極限の緊張感を視聴者が共有できる試みは、スポーツの新しい価値を創造するはずです。
VRで体感する壁の緊迫感!選手と同じ視点で挑むスポーツクライミング
覆いかぶさるような急斜面や、指先が届くかどうかのホールドと呼ばれる突起物までの絶妙な距離感を伝えるため、仮想現実(VR)を活用する企業もあります。東京のベンチャー企業「アーケ」の筒井真佐人さんは、競技の壁をあらゆる角度から立体的に観察できる画期的なサービスを展開しています。ドローンなどで撮影したデータから、本物そっくりの3次元空間を再現する取り組みです。
通常の試合では、選手たちが壁の前に立って事前に登るルートを観察する下見の時間が設けられます。この技術を使えば、観客もスマートフォンを操作して視点を自由に変更し、選手と全く同じ緊迫感を客席や自宅のテレビ前で共有できるのです。SNSでも「自分が壁を登っているような臨場感がある」「選手の凄さがより立体的に理解できる」と、先進的な試みに高い関心が集まっています。
筒井さんは、大会が終われば解体されてしまう特設の壁をデータとして残すことで、将来のルート設営にも役立つと考え、2017年からこの事業を開始しました。新しい観戦体験として注目され、2019年08月に八王子市で開かれた世界選手権の中継でも導入実績を誇ります。将来の解説や中継に不可欠な存在を目指す彼の情熱は、五輪の舞台でさらに輝きを放つに違いありません。
こうしたテクノロジーの進化は、単なる情報の追加に留まらず、観客をスタジアムの中心へと誘う架け橋となります。専門的なルールが分からなくても、数値や立体映像、そして心拍数という人間のリアルなドラマが見えることで、誰もが競技の虜になるでしょう。2020年の東京五輪は、技術の力によってスポーツの感動が何倍にも拡張される、歴史的な大会になると期待しています。
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