高齢化社会が急速に進展する現代において、老後の資産をどのように管理し、次の世代へ繋いでいくかは多くの人々にとって切実な課題となっています。三菱UFJ信託銀行の社長である池谷幹男氏は、これからの信託銀行が果たすべき使命について、単に大切な財産を預かって守るだけにとどまらず、いかに有意義に使い、そして健全に増やしていくかという視点が極めて重要になると熱く語っています。まさに人生100年時代を見据えた新しい金融サービスの形が、今まさに求められていると言えるでしょう。
このような時代の要請に応える形で、同行は2019年3月に画期的な信託商品を世に送り出しました。これは、将来的に本人の認知機能が低下してしまった場合でも、あらかじめ指定された親族が本人に代わって生活資金などをスムーズに引き出すことができる仕組みです。SNS上でも「親の認知症に備える現実的な手段として非常に心強い」「これまでハードルが高かった手続きが身近になった」と、将来に不安を抱える現役世代やシニア層の間で大きな反響を呼び、共感の輪が広がっています。
さらにこの商品は、スマートフォンの専用アプリを活用して、親族同士がお金の使い道をいつでも透明に確認できるという現代的な工夫が施されている点が最大の魅力です。一般的に「信託銀行の手続きは複雑で面倒そうだ」というお堅いイメージを持たれがちですが、デジタル技術を融合させることで、その心理的ハードルを見事に打ち破っています。顧客のリアルな声や現場の発想を起点として生まれたこのサービスは、家族の絆を深めつつ、財産トラブルを未然に防ぐ素晴らしい知恵だと私は確信しています。
金融ジェロントロジーの普及と進化する顧客ファーストの専門性
池谷社長が率いる三菱UFJ信託銀行の先進的な取り組みは、商品開発だけにとどまりません。2019年4月には野村ホールディングスなどと共同で、「金融ジェロントロジー(金融老年学)」の普及を目指す先進的な団体を立ち上げました。この金融ジェロントロジーとは、認知科学や心理学、そして経済学を融合させ、高齢期における資産管理のあり方や行動特性を学問的に研究する最先端の学問分野です。高齢者の心身の変化に寄り添った金融サービスを提供するための、極めて重要な基盤となります。
目先の利益や収益を追い求めるのではなく、このような社会貢献性の高い研究活動を通じて、長期的に社会から確かな信頼を勝ち得ようとする姿勢には深く感銘を受けます。これからの金融機関には、こうした高い倫理観と社会的責任が不可欠になるはずです。また、高齢の顧客から「お気に入りの担当者に長く寄り添ってほしい」という強い要望が増えている現状を受け、これまでの店舗主体の営業スタイルから、個人の顧客に深くコミットする担当者制への移行を模索しています。
それに伴い、相続や不動産といった高度で幅広い専門知識を正当に評価する、新しい人事制度への変革も断行されています。一歩進んだ顧客第一主義の姿勢は、私たちに大きな安心感を与えてくれるでしょう。さらに、確定拠出年金(iDeCoなど、企業や個人が拠出した資金を自ら運用する年金制度)を導入している企業に対して、個人の給与や公的年金を掛け合わせ、将来の資産の過不足をリアルに試算できる高機能なシステムも提供が開始されています。
今後は他社とのデータ連携も視野に入れており、より多くの現役世代が若いうちから資産形成に向き合うきっかけを作ろうとしています。グループ内の銀行や証券会社との人材交流やノウハウの共有といった、組織の垣根を越えた強固な連携の歯車も、2020年1月10日現在、力強く回り始めています。こうした総合力を活かした先進的な試みが、日本のシニア世代とその家族の未来を明るく照らす一筋の光になることを、私は心から期待して止みません。
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