本格的な冬の足音が聞こえ始めた2019年12月11日、北国や雪国の暮らしを支える「灯油」の価格に大きな動きが見られます。東北や北陸といった寒冷地で絶大なシェアを誇る生活協同組合(生協)が、相次いで販売価格の引き上げを決定しました。暖房が欠かせない地域の方々にとって、このニュースはまさに寝耳に水かもしれません。SNS上でも「ただでさえ寒いのに財布まで寒くなるのは勘弁してほしい」といった悲鳴に近い声が数多く寄せられており、家計への影響を懸念するムードが急速に広がっているようです。
具体的な値動きを見ていくと、新潟県を拠点とするコープにいがたでは、2019年12月9日の配送分から販売価格を1リットルあたり3円引き上げ、97円に改定しました。また、長野県のコープながのも2019年12月1日より定期配達価格を2円から3円ほど上乗せし、長野エリアの基準価格は同じく97円となっています。岩手県や石川県の生協も12月に入ってから足並みを揃えるように値上げを打ち出しており、寒冷地全体でコスト増を価格に転嫁せざるを得ない苦しい状況が浮き彫りになっています。
世界情勢と消費税のダブルパンチが直撃
今回の値上げを招いた最大の要因は、世界的な原油相場の上昇にあります。米中貿易摩擦の緩和への期待感や、産油国で構成されるOPEC(石油輸出国機構)による「協調減産」への観測が市場を刺激しました。協調減産とは、石油の供給量をあえて絞ることで市場価格を下支えし、価値を高める戦略のことです。こうした思惑から原油価格が跳ね上がり、日本の石油元売り各社も2019年11月から灯油の卸値を合計で1リットルあたり3・5円引き上げたため、小売現場でも耐えきれなくなったというわけです。
さらに、2019年10月に実施された消費増税の影響も見逃せません。実は多くの生協が、灯油シーズンの開始時期と重なった増税分を、これまで価格に反映させず据え置いてきた経緯があります。「仕入れ値の上昇で利益が削られ、もはや限界だ」と漏らす生協幹部の言葉からは、組合員の生活を守ろうと踏ん張ってきた苦渋の決断が透けて見えます。需要が低調だった時期を過ぎ、11月最終週には出荷量が今シーズン最大の40万キロリットルに達したことで、業者が価格改定に踏み切りやすい環境が整ったとも言えるでしょう。
編集部が斬る!これからのエネルギー生活
編集者としての私見を述べさせていただければ、今回の値上げは単なる「便乗」ではなく、世界経済の荒波に地方の暮らしが飲み込まれた結果だと感じます。寒冷地において、価格が公表される生協の灯油価格は、地域の「標準価格」としての役割を担っています。ここが上がるということは、地域全体の暖房費が高騰することを意味しており、高齢者世帯や子育て世代への負担増が強く危惧されます。環境への配慮も大切ですが、命に直結する暖房エネルギーの安定供給と価格の平準化は、まさに政治や経済が最優先で取り組むべき課題です。
今後、本格的な厳冬期を迎えるにあたり、さらに価格が上昇する可能性も否定できません。私たちは省エネ家電への買い替えや住宅の断熱改修など、中長期的な視点での対策を迫られているのではないでしょうか。2019年12月11日現在のこの状況を教訓に、エネルギー資源を輸入に頼る日本の脆さを今一度見つめ直す必要があります。家計を守るためには、最新の価格動向を常にチェックしつつ、効率的な暖房の使い方を工夫するといった賢い防衛術が、今まさに求められていると言えるでしょう。
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