2019年10月に控えた消費税率の引き上げを目前にして、長野県内の消費現場がにわかに活気づいています。長野経済研究所が2019年11月07日に公表した調査結果によりますと、同年9月の県内大型小売店における売上高は、前年同月比で5.3%も増加し、総額228億円に達したことが明らかになりました。これは2カ月連続のプラス成長であり、増税前の「駆け込み消費」がいかに力強いものであったかを物語っていると言えるでしょう。
特に注目すべきは、普段はなかなか手が出しにくい高額商品の売れ行きが非常に好調だった点です。呉服やフォーマルウェアといった衣料品部門では、前年比3.3%増の14億円を記録しました。SNS上でも「今のうちに一生モノの礼服を買っておこう」「冬物のコートを先取りして正解だった」という声が相次いでおり、消費者の賢い防衛本能が如実に表れています。季節を先取りした冬物アウターの購入も、単価アップに大きく貢献した模様です。
化粧品や宝飾品が驚異の伸び!百貨店で見られた熱狂の正体
今回の調査で最も驚異的な数字を叩き出したのが、「雑貨・その他」のカテゴリーです。なんと前年比29.9%増という驚異的な伸びを見せ、売上額は29億円にまで膨らみました。ここには化粧品や宝飾品といった、増税による支払額の差がはっきりと出る贅沢品が含まれています。高価格帯のアイテムほど「数パーセントの差」が大きな金額差となるため、このタイミングを逃すまいとする購買意欲が店舗に押し寄せた結果と考えられます。
長野市に拠点を置く「ながの東急百貨店」では、百貨店全体の売り上げが前年より2割以上もアップするという異例の事態となりました。特にデパコス(百貨店ブランドの化粧品)のカウンターは、まとめ買いをする顧客で賑わったようです。高級品を扱う現場の盛り上がりは、まさに増税前特有の熱狂と言えるでしょう。専門用語としての「売り場面積調整前」とは、新店オープンや閉店の影響を除外せず、純粋に県内全体の店舗の売上合計を比較した数値を指しています。
また、毎日の生活に欠かせない食料品分野でも2.4%増の185億円を記録しました。10月からは「軽減税率」という、一部の品目に対して8%の税率を据え置く制度が導入されますが、お酒などの酒類は対象外となります。そのため、保存のきくビールやワインなどを中心にストックを確保しようとする動きが加速しました。9月の気温が高めに推移したことも、飲料全体の売り上げを後押しする絶好の条件となったようです。
編集者の視点から見れば、今回の駆け込み需要は単なる散財ではなく、生活を守るための合理的な選択の結果であると感じます。一方で、これほどの大幅な売上増は、10月以降の反動減を予感させるものでもあり、今後の地域経済の動向には細心の注意が必要です。増税という大きな壁を前に、消費者が示した「賢い買い物の知恵」が、一時的なブームに終わらず、地元の小売業を支え続けることを切に願っています。
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