投資家や自動車産業の関係者の間で、ある希少な貴金属の動向が大きな注目を集めています。2019年12月11日現在、パラジウムを凌ぐ勢いで価格が跳ね上がっているのが「ロジウム」です。取引の指標となるスポット価格が1トロイオンスあたり6040ドルを記録し、実に11年という長い歳月を経て6000ドルの大台を突破しました。
ロジウムとは、プラチナを精製する際にごくわずかに採れる副産物で、主に自動車の排ガスを浄化するための「触媒」として利用される素材です。触媒とは、化学反応を促進させるもののそれ自体は変化しない物質のことで、有害な窒素酸化物を無害な成分へ変える重要な役割を担っています。この1ヶ月間だけで上昇率が1割に達する急騰劇を見せました。
SNS上では「金やプラチナよりも圧倒的に高い」「車が盗まれる理由がわかる気がする」といった驚きの声が相次いでいます。これほどまでに市場が過熱している背景には、2020年から中国などの主要国で予定されている排ガス規制の強化が深く関わっています。環境意識の高まりによって、より高性能な触媒への需要が爆発的に増えるとの予測が、価格を押し上げているのです。
供給難に追い打ちをかける南アフリカの計画停電
需要が拡大する一方で、供給側には深刻な懸念が生じています。2019年12月09日、世界最大のロジウム生産国である南アフリカ共和国にて、国営電力会社のエスコムが大規模な計画停電に踏み切りました。鉱石の掘削や精製には莫大な電力を消費するため、現地の鉱山会社の一部は操業停止を余儀なくされ、供給不足への不安が一気に加速しています。
個人的な見解を述べさせていただくと、今回のロジウム高騰は単なる投機的な動きではなく、世界の「クリーンエネルギーへの転換」に伴う構造的な変化を象徴しているように感じます。供給源が特定の地域に偏っているリスクが露呈した形ですが、これほど高価になると代替素材の開発も加速するでしょう。今後の自動車メーカーの技術戦略からも目が離せません。
コメント