自動車業界が電動化へと大きく舵を切る中で、アナログ半導体のスペシャリストであるエイブリック(千葉県千葉市)が、驚くべき新技術を世に送り出しました。2019年12月23日、同社は車載用ブラシレスDCモーターの消費電力を劇的に抑えることができる革新的な「ZCLホールIC」を発売したのです。
この新製品は、SNS上でも「モーター制御の精度が上がるのはデカい」「電力効率15%改善は驚異的だ」と、技術者や車好きの間で大きな期待を寄せられています。省エネが至上命題となっている現代のクルマ作りにおいて、この小さなセンサーが果たす役割は決して小さくありません。
モーターの無駄を削ぎ落とす「ZCL」という新発想
そもそもホールICとは、磁気の力を利用して回転物の位置や動きを検知する「磁気センサー」の一種です。車載モーター内のローター(回転する磁石)がどの位置にあるかを正確に掴むことで、電磁石に流す電流の切り替えタイミングを最適化し、効率よく回転させる役割を担っています。
今回登場した「S-57TZ」シリーズに搭載された「ZCL(Zero Crossing Latch)」技術は、磁束密度の変化を極めて精密に捉えることが可能です。従来の方式ではどうしても避けられなかった「設置位置のズレ」による性能低下を克服し、モーターのパフォーマンスを最大限に引き出すことに成功しました。
過酷な環境を耐え抜く圧倒的な信頼性
このセンサーが真価を発揮するのは、パワースライドドアやパワーシート、ファンモーターといった、高い電力効率が求められる車載機器の数々です。設置のズレが生じた条件下では、従来のセンサーと比較して15%以上もの消費電力削減が見込めるというから、その実力は本物だと言えるでしょう。
自動車という過酷な舞台で使われるため、耐久性も徹底的に磨き上げられています。2019年12月23日現在の仕様では、動作温度範囲が摂氏マイナス40度から150度までと非常に広く、静電気への耐性も備えているため、エンジンの熱や極寒の地でも安定して作動し続ける設計です。
編集者が見る「地味ながらも偉大な一歩」
私たちが快適にドライブを楽しめる裏側には、こうした目立たない場所で戦う半導体技術の進化があります。特に回転の開始時や停止時といった、モーターが不安定になりやすい瞬間でも安定した信号を得られる点は、製品の質感や静粛性にも直結する重要なポイントだと私は考えます。
これからの電気自動車(EV)時代において、航続距離を伸ばす鍵はバッテリー容量だけでなく、こうした個々のパーツの「チリ積も」な省エネにあるはずです。エイブリックが生み出したこの技術が、世界のクルマのスタンダードを一段階引き上げてくれることに期待せずにはいられません。
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