【2020年最新】SNSで「萌え断」と話題!千葉の郷土料理「太巻き祭りずし」に秘められた主婦たちの歴史と芸術

2020年1月1日、新年を祝う食卓にふさわしい、華やかな話題をお届けします。昨今、SNSを中心に食べ物の美しい断面を楽しむ「萌え断」ブームが巻き起こっていますよね。実は千葉県には、このトレンドを何十年も前から先取りしていたかのような郷土料理が存在することをご存じでしょうか。

それが「太巻き祭りずし」と呼ばれる、切り分けた断面に華麗な文様が描かれる伝統的なお寿司です。千葉伝統郷土料理研究会を主宰する龍崎英子さんは、半世紀にわたりこの魅力を研究し続けてきました。なんと今年の干支や新元号にちなんで、「令」と「和」の文字をあしらった新作も考案されたそうです。

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受け継がれる農村の芸術と探求の始まり

龍崎さんと太巻き祭りずしとの出会いは、1955年のご自身の結婚式の日にまで遡ります。お姑さんが振る舞ってくれたのは、赤いでんぶやかんぴょうを使ってチューリップが描かれた、見たこともないお寿司でした。でんぶとは、魚の身をほぐして甘く味付けし、食紅などで色付けした伝統的な加工食品のことです。

「どうやってこんな複雑な模様を描くのだろう」という純粋な驚きから、彼女の探求は幕を開けました。その後、1960年代前半にかけて栄養指導で千葉県内を巡る先々で、このお寿司に出会うようになります。当時は作り手の農家の女性たちが、模様が歪むと「今日は風が強いから」と照れ隠しをして場を和ませていたと言います。

もともと戦前は「名人」と呼ばれる男性たちが家々を回って作っていましたが、戦後の食糧統制期を経て、いつしか主婦たちがその役割を担うようになっていました。この料理は食べれば当然消えてしまうため、詳しい記録がどこにも残っていません。そこで彼女はカメラと録音機を手に、県内の名人たちを訪ねて記録を残す活動に奔走したのです。

主婦たちの地位向上と広がるデザインの輪

調査を進める中で、このお寿司が単なる料理の枠を超えた存在であることが分かってきました。各地域の農家の女性たちは、日常の中から「芥子の花」や「桃の花」など、独自の文様を次々と生み出していたのです。中には海苔やご飯の順番を覚えるために自作の歌まで作って伝承している方もいて、当時の女性たちのバイタリティには驚かされるばかりでしょう。

さらに1980年頃には、文字を描く猛者まで登場します。「寿」という文字を巻いた主婦に対し、龍崎さんが「かんぴょうを海苔で挟めば線が歪まない」と助言したことで、技術はさらに進化を遂げました。かんぴょうとは、ウリ科の植物の果実を紐状に剥いて乾燥させた乾物で、海苔と一緒に使うことでしっかりとした輪郭線を描く画材の役割を果たしたわけです。

私が何より素晴らしいと感じるのは、技術を身につけた女性たちが冠婚葬祭の場で「主役」として扱われるようになった事実です。上座である座敷に案内され、助手まで付き、正当な報酬を得るようになりました。家事労働が中心だった女性たちが、自身の腕一つで社会的な評価と自立を獲得していったこの歴史には、深く心を打たれます。

1982年には「郷土料理の伝承」を掲げて研究会を立ち上げ、2005年からは一般向けの図案コンテストも開始されました。その結果「肉球」や「ロケット」など現代風のポップな新作が次々と誕生しています。SNS上でも「食べるのがもったいない芸術品!」と、若者を中心に驚きの声が拡散されているのをよく見かけますよね。

美しい郷土料理の裏には、女性たちの知恵とたくましさが詰まっていました。龍崎さんの90年にも及ぶ人生の証しでもある太巻き祭りずしの文化は、これからも世代を超えて愛され、進化していくに違いありません。千葉県を訪れた際は、ぜひこの歴史ある「萌え断」アートを味わってみてはいかがでしょうか。

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