長引くマイナス金利政策などにより、金融業界はこれまでにない低収益時代に直面しています。こうした厳しい経営環境の中、北海道銀行の笹原晶博頭取が語った新たな成長戦略が今、大きな注目を集めています。従来の融資ボリュームに頼るビジネスモデルからの脱却を目指す同行の試みは、地域金融の在り方を根本から変える可能性を秘めているでしょう。SNS上でも「地銀の存在意義が問われる時代に、具体的な攻めの姿勢が見えて興味深い」「質の高い提案なら高い金利も納得できる」といった前向きな反響が寄せられています。
笹原頭取がこれからの営業活動において最も重要視しているのが、融資先企業の「経営課題に対する的確な提案」です。ただ資金を貸し出すだけでなく、顧客の抱える悩みを解決することで、相応の金利や対価を得る関係性を築くという戦略を掲げています。しかし、経営者自身も自社の本質的な課題に気付いていないケースは少なくありません。そこで同行では、営業担当者が経営者との会話の質を高め、潜在的な課題を掘り起こせるよう、行員の教育やサポートのスピードを急速に引き上げる方針を示しています。
さらに、低収益時代を補うもう一つの柱として、手数料収入を中心としたビジネスの強化も急務となっています。法人向けには、企業の合併や買収を意味するM&Aや、後継者へ事業を引き継ぐ事業承継といった高度なビジネスマッチング相談を増やしていく方針です。一方で、ネット証券が投資信託の売買手数料を無料化する動きを見せる中、個人向け営業では、顧客一人ひとりに寄り添った資産運用を提案することで、健全な銀行経営に必要なコストに見合う適切な対価を安定的にいただく姿勢を崩さない構えを見せています。
ほくほくFGのシナジー効果と未来への投資戦略
こうした提案力の質をさらに高めるため、北海道銀行は北陸銀行と共に傘下に入っている「ほくほくフィナンシャルグループ(FG)」の連携強化を打ち出しました。2019年7月には経営企画部門の一部をFGに集約し、両行の職員が席を並べることで意思疎通の円滑化と業務効率の改善を実現させています。今後は北陸銀行が保有する広範な情報をスムーズに共有できる新システムを導入する予定であり、ビジネスマッチングの精度を飛躍的に向上させるためのIT投資を積極的に行う計画です。
また、店舗網が重なる北海道内においては、将来的には共同店舗の設置による効率化も視野に入れています。建物の建て替え時期を見極める必要があるため、一朝一夕には進まないものの、適切なタイミングを捉えて具現化していく構えです。私は、このような地銀同士の連携やデジタルへの投資こそが、地域経済の衰退を防ぐ防波堤になると考えます。単なるコスト削減にとどまらず、顧客への価値提供という本質に立ち返る北海道銀行の先進的な取り組みは、全国の地方銀行にとって進むべき一筋の光となるに違いありません。
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