航空ビジネスの新潮流!三菱重工や川崎重工が「エンジン整備」へ本格参入する理由と今後の課題とは?

日本のものづくりを牽引してきた航空部品大手が、ビジネスモデルの大きな転換期を迎えています。三菱重工業や川崎重工業、IHIといった大手各社は、従来の部品製造・販売にとどまらず、航空機の「エンジン整備」というサービス分野を強化する方針を打ち出しました。この動きに対し、SNS上では「日本の高い技術力が航空インフラを支えるのは誇らしい」「これからの航空業界は『売って終わり』ではない時代になる」といった、期待に満ちた声が数多く寄せられています。単なる製造業からの脱却を目指す、各社の熱い戦略に注目が集まっているのです。

三菱重工業は2021年に愛知県小牧市の名古屋誘導推進システム製作所へ、約30億円を投じてエンジン整備の新工場を建設する予定です。これにより、整備能力は現在の3倍となる月15台へと大幅に増強されます。航空会社から預かったエンジンを解体し、約3万点にも及ぶ精密な構成部品を点検・修理・交換する体制が整えられるでしょう。同社は2020年3月期の航空・防衛・宇宙部門において7000億円の売上を見込んでおり、そのうちエンジン関連の売上を2026年3月期までに倍増させる強気な計画を掲げています。

一方、ライバル企業も動きを加速させています。川崎重工業は防衛省向けの機体整備で培ったノウハウを武器に、2022年にもアメリカの航空エンジン大手であるプラット&ホイットニー(P&W)製のエンジン整備事業へ参入する見通しです。また、現在国内トップを走るIHIも、埼玉県鶴ケ島市に245億円を投じて22年ぶりとなる新工場を2020年中に稼働させます。同社は10年後をメドに整備能力を現在の3倍に引き上げる構想を描いており、先行逃げ切りを図る構えを見せています。

なぜ、これほどまでに各社がエンジン整備に熱視線を送るのでしょうか。背景には、世界的な航空需要の拡大とビジネスモデルの変化があります。近年、航空業界を牽引している格安航空会社(LCC)は、自前の整備工場を持たないケースが一般的です。さらに大手の航空会社でも、コスト削減のために整備を外部に委託するアウトソーシングの流れが急速に広がっています。これに伴い、エンジン市場は今後20年間で130兆円もの巨大な需要が発生すると予測されており、既存のエンジンメーカーだけでは対応しきれない状況が生まれているのです。

ここで注目したいのが、「MRO」と呼ばれる航空機の整備・修理・オーバーホール事業の収益性の高さです。現在の航空エンジンビジネスは、飛行距離や時間に応じて整備費用を受け取る、いわゆる「サブスクリプション」に近い安定した仕組みへと進化しています。さらに、整備の現場で交換される部品は最初の納入品よりも利益率が非常に高いとされており、整備を受注することが自社部品の需要を直接生み出す好循環をもたらします。大手各社にとって、この安定的なキャッシュフローの創出は、従来の火力発電設備事業などからの依存脱却を進める上での強固な柱となるに違いありません。

しかし、この魅力的な市場にも乗り越えるべきハードルが存在します。世界的な需要急増に伴い、エンジン内部にあるタービンのブレード(羽根)といった重要部品の原材料が不足し、価格が高騰するというリスクが浮上しているのです。市場関係者からは、各種部品を安定的に調達するためのサプライチェーン(部品の調達から製造、配送までの一連の供給網)をいかに強固に構築できるかが今後の成否を分ける、という指摘がなされています。アジア圏の競合他社との激しいシェア争いも見込まれる中、日本の強みである細やかな技術力と確実な供給網の確立が、今後の世界市場を制する鍵になるでしょう。

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