日本のものづくりを支えてきた巨大企業が、時代に合わせたドラスティックな転換期を迎えています。三菱重工業の子会社である三菱造船が、長崎造船所の本工場で大型フェリーの生産に乗り出すことを決定いたしました。これまで防衛省向けの護衛艦をはじめとする特殊な船舶を主に手掛けてきた同工場ですが、近年の稼働率低迷を打破するための画期的な一手として注目を集めています。長崎の伝統ある技術力が、私たちの生活に身近な旅客インフラへと注がれることになりました。
今回の改革に伴い、今後のフェリー生産は山口県の下関造船所と長崎の2拠点で分担する体制へと移行します。具体的には、小回りの利く小型フェリーを下関が担い、全長200メートルを超える圧倒的なスケールの大型フェリーを長崎の本工場で建造するという明確な役割分担がなされることになりました。この体制を確立するため、2020年1月17日までに、各拠点から選りすぐりの技術者約100名を集結させたドリームチームが長崎に結成され、大きな期待が寄せられています。
ネット上では「護衛艦のドックでフェリーが作られる姿は見応えがありそう」「伝統の長崎造船所が新時代へ向けて動き出した」といった、産業ファンからの熱い声が飛び交っています。一方で「香焼工場の売却は寂しいけれど、効率化のためには応援したい」という、今後の日本の造船業の行く末を案じつつも期待を込めたコメントもSNSで見られました。このように、これまでとは異なる新しい船づくりに対する世間の関心は、非常に高いものと言えるでしょう。
これまでの三菱重工グループは、それぞれの製造所が独自の文化ややり方を持つ、いわゆる「縦割り組織」の弊害が少なからず存在していました。しかし、今回の生産体制見直しによって、下関が長年培ってきた客船設計のノウハウや複雑な配線技術が長崎へと移植される方針です。経営環境が厳しさを増す中で、重厚長大産業特有の垣根を取り払い、グループの総合力を結集して生き残りを図る姿勢は、まさに時代の要請に応じた賢明な判断であると感じます。
現在、主力の香焼工場を大島造船所へ売却する検討が進んでおり、タンカーなどの大型資源船からは事実上の撤退となります。中国や韓国の造船メーカーとの国際競争が激化する中、海外勢と激しく争う豪華客船ではなく、安定した内需が見込める国内向けのフェリーに資源を集中させる戦略は極めて現実的です。まずは国内市場で確固たる基盤を築き、赤字を縮小させることが先決でしょう。そして将来的には、本場である欧州市場への進出もぜひ形にしてほしいと願っています。
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