【2019年最新】「古家」化する住宅に未来はあるか?都市近郊のミニ開発と住まいの価値を考える

2019年5月30日、都市郊外の風景は静かに、そして急速に変化しています。都内の賃貸マンションから最寄りの私鉄駅まで徒歩15分の道。毎朝の通勤路を歩いていると、戸建て住宅が並ぶ一角で、ここ数年の変化が目に留まります。以前は庭木や外構(がいこう:建物の周りの塀や門、庭などのこと)の手入れが行き届かない家が目立っていましたが、気づけば一棟が更地になり、そこへ新たに三棟の戸建て住宅が出現していました。また、昭和の面影を残す木造アパートの解体跡地にも、二棟の新しい家が建っています。これらの家は、一台分の駐車スペースを確保することが精一杯で、庭木を植える余裕さえありません。これは、都市部の狭い土地をさらに細かく分けて建売住宅にする「ミニ開発」の典型的な事例と言えるでしょう。

こうした状況は、私たちが日本の住まいについて、もう一度深く考えるべき時期に来ていることを示唆しているのではないでしょうか。かつて、私は大阪勤務時代に阪神大震災の取材を経験し、その後東京へ転勤して住宅業界を担当しました。当時の大手住宅メーカーは、各々の工法(こうほう:建物を建てる方法)の違いをアピールし、「災害に強い家」のイメージを競っていました。当時は建物の耐震性(たいしんせい:地震の揺れに耐える強さ)ばかりが注目されていましたが、ある経営者の言葉が強く印象に残っています。その方は、「住宅は10年も経てば、価格がつかない『古家(ふるや)』となり、価値が残るのは土地だけになる。そうではなく、適切な手入れをして中古住宅として建物の価値を高め、流通させる考え方を日本に根付かせたい」と語っていたのです。

彼の言葉は、まさに平成の時代を通して、なおざりにされてきた日本の住宅事情の本質を突いていると感じます。皆さんのご近所を少し見てみましょう。現在も居住者がいる「古家」と、手入れされずに放置された「空き家」が目立ってはいないでしょうか。そして、時間が経過したミニ開発の住宅が、住む人にとって本当に魅力的な空間であり続けているでしょうか。規制によって屋根などの形状も窮屈になってしまった建売住宅を見ると、住まいが単なる「箱」になってしまっているように感じられてなりません。

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「古家」化を防ぎ、住まいの価値を高める視点とは

住まいの価値を考える上で、建物の構造的な強さだけでなく、街並み全体の安全性にも目を向ける必要があります。例えば、道幅は車がすれ違える対面通行が可能でしょうか。そして、神戸で消防車の進入を阻む一因となった電柱は、地下化されているでしょうか。私たち編集部では、防災と住まいの価値は切り離せないものと考えています。また、最近ではトヨタ自動車とパナソニックの住宅関連事業の統合がニュースになりました。巨大企業が手を組むことで、日本の住宅業界、ひいては街づくりにどのような変革がもたらされるのか、大きな期待が寄せられています。

このミニ開発が席巻する都市近郊の現状に対し、SNSでは「中古の家でも価値が認められる社会になってほしい」「新築信仰を見直すべき」といった意見が多く見受けられます。特に若い世代からは、「土地の細分化が進むと、将来的に広い家を持つのが難しくなる」と、未来への不安を表明する反響も少なくありません。平成の時代に私たちが十分に取り組んでこなかったことがあまりにも多すぎて、住まいと街の未来像が、残念ながら見えてきません。しかし、逆に言えば、今こそ住まいのあり方、そして住宅市場の流通の仕組み自体を見直す大きなチャンスと言えるでしょう。私たちは、建物が「古家」となるのではなく、時間を経て価値を増していくような、持続可能な住まいと街づくりを真剣に目指すべきです。

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