日医工が乳がん治療の「バイオシミラー」開発中止を発表!激化する市場競争と今後の成長戦略を編集部が徹底解説

製薬業界に大きな衝撃が走りました。ジェネリック医薬品の国内最大手である日医工株式会社が、乳がん治療薬として期待されていたバイオ医薬品の後続品である「トラスツズマブ」の開発を断念することを、2020年01月17日に明らかにしたのです。がん治療の現場で広く使われている先発医薬品「ハーセプチン」のバイオシミラーとして注目を集めていただけに、この撤退ニュースは非常に残念でなりません。

インターネット上のSNSでも「期待していただけにショックが大きい」「バイオ医薬品の開発はそれだけハードルが高いということか」といった落胆や驚きの声が相次いでいます。そもそも「バイオシミラー」とは、遺伝子組み換えなどの高度なバイオテクノロジーを用いて作られたバイオ医薬品の後発品のことで、通常のジェネリック医薬品よりも開発に膨大な時間とコスト、そして高い技術力が求められるのが特徴です。

今回、日医工が開発中止に踏み切った背景には、国内外でのライバル企業との競争激化が挙げられます。当初想定していたほどの利益を確保することが難しくなったと同社は判断しており、厳しい市場を生き抜くための苦渋の決断だったと言えるでしょう。開発データに関しては、関連会社である韓国のバイオ医薬品ベンチャー、エイプロジェン社へ譲渡されることが決定しています。

このデータ譲渡に伴い、日医工は2020年03月期の決算において約6億円の譲渡損を計上する見込みです。さらに、同薬の国際的な販売権を巡っても約6億円の減損損失を計上する見通しですが、2020年03月期通期の業績予想については現在も精査中であると発表されています。目先の損失は小さくありませんが、将来を見据えた見切りの早さは評価すべきかもしれません。

国内の医療市場では後発医薬品の普及が進む一方で、国による薬価引き下げの圧力が年々強まっており、従来のビジネスモデルだけでは大幅な成長を望みにくい現状があります。だからこそ、同社は高付加価値なバイオシミラーの開発に注力していたわけですが、今回のトラスツズマブからの撤退は、大手であってもバイオ市場での生き残りが容易ではない現実を物語っています。

しかし、日医工がバイオシミラー事業そのものを諦めたわけではありません。同社は今後、がん治療に用いられる別のバイオシミラー開発に経営資源を集中させる方針を打ち出しています。限られた資源を勝てる分野へ投資する「選択と集中」の戦略は、激動の製薬業界を勝ち抜くために極めて合理的であり、今後の新たな新薬開発の動向に期待を寄せたいところです。

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