🚀フィンテック「創造的破壊」の舞台裏:ユニコーン企業に熱視線を送る世界の巨大投資家たち【CB Insightsデータ分析】

今、世界の金融界にディスラプション、すなわち「創造的破壊」を仕掛けているフィンテックの新興企業群が、投資マネーの熱い視線を集めています。IT(情報技術)と金融の専門知識を融合させたこれらの企業は、既存の銀行をはじめとする伝統的な金融機関のビジネスモデルを根本から変えようとしています。特に、企業評価額が10億ドルを上回る未公開企業を指すユニコーンとして、米国と中国を中心に続々と誕生しており、その存在感は計り知れないほど高まっている状況です。

フィンテック分野のユニコーンは、2019年5月20日時点で世界5大陸にわたり50社を数えます。その代表格としては、決済処理・ネットワークの分野で評価額225億ドルの米ストライプ、手数料ゼロの画期的な証券会社である評価額56億ドルの米ロビンフッド、消費者金融を手掛ける評価額29億ドルの米アファームなどが挙げられます。これらの有望株を資金面で強力にバックアップし、将来的に多額のリターン(利益)獲得を目指す投資家は一体誰なのでしょうか。米調査会社CBインサイツのデータからは、この分野で特に積極的な活動を展開する、有力な投資家たちの姿が鮮明に見えてきています。

CBインサイツのデータ分析によると、最も多くのフィンテック・ユニコーンに出資しているのは、米パロアルトに拠点を置くリビット・キャピタルで、実に11社に資金を投じています。次いで、米メンロパークのアンドリーセン・ホロウィッツが10社で2位にランクインしました。3位には、香港のDSTグローバル、ニューヨークのスライブ・キャピタル、同じくニューヨークのタイガー・グローバル・マネジメントの3社が、それぞれ9社への出資で並んでいます。また、フィンテック・ユニコーンが実施した資金調達への参加回数という点では、米セコイア・キャピタルが最多の25回を記録しており、この分野へのコミットメント(関与)の強さがうかがえます。

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巨大IT・金融機関も参戦!フィンテック投資の最前線

機関投資家全体で見ると、3社以上のフィンテック・ユニコーンに出資しているのは48社に上ります。さらに、一般企業や事業会社もこの競争に参戦しており、特に目を引くのは中国のインターネットサービス大手、**騰訊控股(テンセント)**です。同社は4社のフィンテック・ユニコーンに資金を提供し、企業としては最多となっています。これに米クレジットカード大手マスターカードが3社で続き、米ビザ、米ペイパル、中国の百度(バイドゥ)などはそれぞれ2社に投資するなど、巨大企業による戦略的な動きが活発化しているのが現状です。

金融機関の動向も注目すべきでしょう。2社以上のフィンテック・ユニコーンに出資している銀行・証券会社の中では、米フィデリティ・インベストメンツが4社への資金提供でトップを走っています。米シリコンバレーバンクや米モルガン・スタンレー、米JPモルガン・チェース、米ゴールドマン・サックスといった名だたる金融機関も、それぞれ2社に投資しています。これらの動きは、既存の金融大手がフィンテック企業を単なる「脅威」としてではなく、「協業相手」や「将来の収益源」として捉え始めていることを示しており、私はこの変化を非常に前向きなものと捉えています。

特筆すべきは、米アルファベット傘下の複数企業(グーグル、キャピタルGなど)が、合計12社のフィンテック・ユニコーンに出資しているという事実です。これは、巨大IT企業が、自社の持つ技術力と膨大なデータを活用し、金融領域への本格的な進出を虎視眈々と狙っていることの明確な表れと言えるでしょう。実際に、評価額の高いフィンテック・ユニコーンの多くが、出資件数上位10社のうち複数社から支援を受けている状況です。例えば、ストライプには上位10社のうち7社が、ロビンフッドには6社が、そしてアファームには4社が出資しており、有力企業への投資が集中する傾向が見られます。

「アーリーステージ」を見極める初期投資家が大きなリターンを獲得

投資家にとって大きなリターンが見込めるのは、未公開市場での評価額が高いうちに企業へ投資し、その後の新規株式公開(IPO)や第三者への売却(エグジット)を迎える時です。そのため、事業の初期段階であるシード(種)ラウンドやシリーズAラウンドといった、アーリーステージでの投資が特に重要になってきます。シードラウンドは、事業化前のアイデアや試作品段階での少額の資金調達を指し、シリーズAラウンドは、事業計画が固まり、本格的な製品開発や市場参入を目指す段階での資金調達を意味します。

シードラウンドとシリーズAラウンドで最も多くのフィンテック・ユニコーンに初期投資していたのは、米SVエンジェルで、6社に出資しています。2位は米企業支援大手のYコンビネーターの5社、3位はリビット・キャピタル(4社)という結果になっています。フィンテックは、既存の金融サービスを覆す可能性を秘めているため、この初期段階を見極められる投資家こそが、将来的に多額のリターンを得る可能性が高いと言えます。このデータは、目利きのある少数の投資家が、フィンテック界の未来を形作る種を蒔いていることを示唆している、と私は感じています。

本記事で紹介したデータは、日本経済新聞社が業務提携している米CBインサイツの分析に基づき、2019年6月14日に公開されました。フィンテックへの投資熱は高まる一方であり、SNSでも「将来、銀行の業務はAIに取って代わられるかもしれない」「ストライプのような企業が既存金融を飲み込むのでは」といった、業界の変革に対する期待と驚きの声が多く見られます。ITと金融が融合したこのダイナミックな領域は、今後も目が離せないホットスポットであり続けるでしょう。

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