日本の個人投資家を取り巻く証券・金融業界の環境が、2020年の幕開けとともに大きな転換期を迎えています。日々変化するマーケットにおいて、賢く資産を運用するための耳寄りな最新ニュースをお届けしましょう。老後の資産形成や副業への関心が高まる中、大手証券会社や国の機関が相次いで新たな一手を打ち出しており、市場の活性化が期待されています。
まずはネット証券大手のauカブコム証券に関する話題です。同社は個人投資家が資金や株式を借りて売買を行う「信用取引」において、株価の下落局面でも利益を狙える「空売り」の対象銘柄を大幅に拡大しました。短期間で空売りが可能な銘柄数を、従来の2倍となる約1000銘柄へと一気に拡充させたのです。この規模は業界最多水準であり、投資家にとって選択肢が大きく広がりました。
この大胆な戦略に対し、SNSなどインターネット上では「これまで他社では1日しか保有できなかった銘柄が長期間売り建てられるのは嬉しい」「手数料が下がっても選択肢が増えなければ意味がないので、この拡充はありがたい」といった歓迎の声が目立っています。低コストでじっくりと相場と向き合いたい個人投資家にとって、今回の銘柄倍増は非常に魅力的な選択肢として映っているようです。
ここで専門用語の解説をしておきましょう。「信用取引」とは、手元の現金や株式を担保にして、証券会社からお金や株を借りて行う取引のことです。そして「空売り(売り建て)」とは、株価が下がると予想した際に、まず株を借りて売り、値下がりした後に買い戻して差額の利益を得る手法を指します。株価の上昇局面だけでなく、下落トレンドでも収益を狙える点が大きな特徴です。
一般信用取引には、決済までの期限が15日間などに限定される「短期」と、期限が設定されない「無期限」の2種類が存在します。auカブコム証券は2019年12月末にこの短期空売りの銘柄を倍増させ、2020年1月6日時点の実績では942銘柄に達しました。短期と無期限を合わせた一般信用取引の全体では、約2700銘柄にまで膨らんでおり、他社を一歩リードする形となっています。
これまでは、他社において「当日のうちに決済しなければならない」と制限されていた銘柄であっても、同社を利用すれば15日間にわたって保有することが可能になりました。これにより、投資家は日々の値動きに一喜一憂することなく、より戦略的な売買コストの管理が行えるようになります。昨今の証券業界における手数料の引き下げ競争は、投資家にとっての恩恵へ着実に還元されていると言えるでしょう。
私の視点といたしましては、今回のauカブコム証券の取り組みは非常に高く評価できると考えております。単なる手数料の値下げ合戦から脱却し、投資の「質」や「自由度」を高める方向へ舵を切ったことは、市場の成熟を意味するからです。投資家はコストだけでなく、自分の投資スタイルに合致したサービスを提供してくれる会社を選ぶ、真の選別眼が求められる時代が到来しました。
安心の取引環境へ!金融庁が店頭FXのデータ報告を義務化する狙いとは
次にご紹介するのは、投資家を守るための国の新しい規制強化に関するニュースです。金融庁は、個人投資家に絶大な人気を誇る外国為替証拠金取引、通称「FX」を運営する業者への監視の目を強める方針を固めました。取引所を介さずに、FX業者と個人が直接為替を売買する「店頭FX」を対象として、2021年4月から顧客の取引データを3年間保存し、業界団体へ報告することを義務付けます。
ここで改めて用語を整理しますと、「FX(外国為替証拠金取引)」とは、2つの国の通貨を売買してその差益を狙う取引です。その中でも「店頭FX」は、投資家が取引所ではなく、各FX会社と個別に取引を行う仕組みをいいます。さらにFXの最大の魅力である「レバレッジ」とは、少ない元手(証拠金)で、その何倍もの金額の外貨を動かすことができるテコの原理のような仕組みのことです。
金融庁はすでにこの方針に沿った告示の改正を完了しており、今後は各店頭FX業者に対して、売買が成立したデータや注文内容、さらには顧客に提示した為替価格などの詳細な情報の保存を徹底させます。これらのデータは一度「金融先物取引業協会」へと集約され、同協会が細かく分析を施した上で、最終的に金融庁へと報告される流れが構築される見通しです。
実は、こうした取引データの保存や報告はこれまでも同協会の身内ルールとして存在していました。しかし、今回の改正によって金融庁が直接管轄する公的な規則へと「格上げ」されることになります。その背景には、世界的な相場の急変が起きた際に、投資家が大きな損失を抱え、業者が資金を回収できなくなる「未収金リスク」を未然に防ぎ、市場を正確に把握したいという強い狙いがあります。
店頭FXの取引規模は、2010年度の約2000兆円から、2018年度には約3700兆円へと驚異的な拡大を遂げました。万が一、業者の財務状況が悪化すれば、日本の外国為替市場そのものが混乱に陥る危険性を孕んでいます。SNSでも「データの透明性が上がれば安心して取引できる」「悪質な業者が排除されるきっかけになってほしい」といった、健全化を歓迎する意見が多く寄せられています。
この規制強化について、私は投資家保護の観点から非常に有意義な決断であると確信しております。レバレッジを効かせた取引は大きな利益を生む反面、リスクも隣り合わせだからです。国がデータの透明性を担保することで、個人投資家が不当な不利益を被る可能性は格段に低くなるでしょう。2020年は、賢く攻める仕組みと、守りのルールの双方が充実していく素晴らしい1年になりそうです。
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