ステンレス鋼の製造に欠かせない重要な主原料である「フェロクロム」の取引価格に、新たな動きが見られました。日鉄ステンレスと南アフリカ共和国に拠点を置く大手の資源開発企業は、2020年1月から2020年3月までに日本へ積み込まれる出荷分の価格について、交渉を妥結させた模様です。
注目の取引価格は1ポンドあたり109セントとなり、直前の四半期である2019年10月から2019年12月までの価格と比較して1セントの値下げとなりました。割合に換算するとわずか0.9%の小幅な下落ですが、これで3四半期連続の値下がりを記録した形です。
ここで「フェロクロム」について簡単に解説しますと、これは鉄とクロムの合金であり、錆びにくく頑丈なステンレスを造る際に必須となる専門的な原材料です。今回の値下がりの背景には、世界規模で製造業の景気が停滞し、各地でステンレスの需要が伸び悩んでいる現実が大きく影響しています。
SNS上でもこの決定は話題を呼んでおり、関連業界のビジネスパーソンからは「連続下落でコストが下がるのはありがたい」といった声が上がっていました。その一方で、「南アフリカの電力不安を考えると、これが底値かもしれない」と、今後の供給体制を懸念するシビアな意見も散見されます。
注目すべきは、大幅な暴落を避けてほぼ横ばいの水準を維持した点でしょう。原材料を採掘・精錬する供給企業側としては、これ以上の価格破壊が進むと採算割れを起こしてしまうため、安易な安売りを拒む強い姿勢を示した結果だと言えます。
編集部の視点としては、今回の微減決着は買い手と売り手の双方が限界まで妥協し合った「絶妙な防衛線」であると考えます。世界的な需要不足は深刻ですが、生産コストの限界も見えているため、今後は価格が反転攻勢に転じる可能性も十分に視野に入れて注視していく必要があるでしょう。
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