米国株がバブル化?新型肺炎でも下がらない「波乱なし相場」の不気味な正体と投資リスク

2020年01月21日の米国株式市場は、驚くほどの底堅さを改めて世界に見せつけました。アジアや欧州の市場が下落した流れを受け、ニューヨーク市場も朝方は安く始まったものの、全体を売り崩すような動きは一切見られません。SNS上では「米株の安心感が半端ない」「押し目買いのチャンス」といった個人投資家のポジティブな声が溢れています。主要な株価指数が1%以上も値下がりしない平穏な日々が長く続いており、多くの人々がこの心地よい上昇気流を心から楽しんでいるようです。

市場の過熱を心配する専門家の声も散見されますが、現在の活況の中では完全に掻き消されています。ベテラントレーダーのマイケル・アントネリ氏は顧客へのメモの中で、この記録的な静けさこそが典型的な強気相場の姿であると主張しました。この日の午後にはアメリカ国内で初めて新型肺炎の感染者が確認されたというショッキングなニュースが飛び込んできましたが、市場の反応は航空やレジャーなどの一部の業種に留まっています。悪材料が出てもびくともしない様子に、市場の底力が伺えるでしょう。

しかし、全く下落を挟まない株高がいつまで続くのかという疑問について、市場関係者の間で議論が活発化しています。主要な株価指数であるS&P500種株価指数は、2019年10月09日を起点として71日間も1%以上の下落を記録していません。これはリーマンショックが起きた2008年以降で4番目に長い記録であり、歴史的な異常事態とも言えます。過去10年のデータを振り返っても、長期の上昇トレンドには必ず一時的な価格調整が挟まれてきたため、この先の展開には注意が必要です。

市場をさらに強気にさせているのが、大物投資家であるデビッド・テッパー氏の力強い発言でしょう。同氏はテレビ番組に対し、勢いよく走っている馬に乗り続けるように、今後も買い持ちの姿勢を崩さないと明言しました。過去にも彼の発言をきっかけに猛烈な株高が引き起こされ、その現象が「テッパー・ラリー」と名付けられたほどの影響力を持つ人物です。このカリスマの一言が投資家心理に絶大な安心感をもたらし、さらなる買いを呼び込む呼び水となっています。

その一方で、現在のマネーの熱狂に対して痛烈な批判と警鐘を鳴らす専門家も存在します。大手運用会社の最高投資責任者であるスコット・マイナード氏は、世界中の中央銀行による大規模な金融緩和が市場に燃料を注ぎ続けていると指摘しました。同氏はこの過熱ぶりを、明日も価格が上がるという盲信だけで買い支えられている「ポンジ・マーケット」という刺激的な言葉で表現しています。投資家のリスクに対する感覚が完全に麻痺している状態への強い警告と言えるでしょう。

ここで登場した「ポンジ・マーケット」とは、米国の経済学者ハイマン・ミンスキー氏が提唱した概念です。これは、資産から生まれる利益ではなく、新たな買い手の資金によって価格が維持される自転車操業のような市場を意味します。私はこの指摘こそ、現在の投資家が最も真摯に受け止めるべき言葉だと考えます。目先の利益に目を奪われ、破滅的なバブルの兆候を見過ごすことは極めて危険です。歴史を振り返れば、全員が楽観視している瞬間こそが最も脆弱な局面だからです。

崩壊の引き金となる景気後退の時期について、マイナード氏は2021年や2022年まで訪れない可能性を示唆しています。だからこそ、テッパー氏が語ったように「ある時点で馬の速度を落とし、最後は飛び降りる」という出口戦略が重要になるでしょう。多くの投資家が「自分だけはうまく逃げ切れる」と過信している時ほど、相場は危うい表情を見せるものです。現在の米国株は、バブルの最終局面に現れる狂乱的な急騰「メルトアップ」の兆候を強く滲ませています。

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